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令和6年5月28日 記者会見

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1.発言要旨

 

 知的財産戦略担当大臣として、2点報告を申し上げます。

 まず1点目についてですが、本日、「AI時代の知的財産権検討会」の「中間とりまとめ」を公表いたします。

 本検討会では、昨年10月から、7回にわたって、生成AIと知的財産権を巡る課題や懸念・リスクへの対応等について、有識者の皆様に御議論をいただきました。

 「中間とりまとめ」では、「AI技術の進歩の促進」と「知的財産権の保護」が両立するエコシステムの実現に向けて、法・技術・契約の各手段を適切に組み合わせながら、AI事業者やデータの権利者など、各主体に期待される取組事項の例が示されています。

 内閣府といたしましては、関係省庁と連携を図りつつ、「中間とりまとめ」で示した考え方の周知を行うとともに、必要な検討を引き続き推進してまいります。

 次に、2点目についてでございますが、本日、「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表」を更新しましたので、関係府省連名で公表いたします。

 この総合対策メニューは、海賊版による被害を効果的に防ぎ、著作権等の正当な利益を確保するため、関係府省の対策を取りまとめたものでございます。2019年10月に策定後、2021年4月に前回の更新を行ってから、3年が経過したため、最近の被害拡大や各取組の進捗を踏まえて、今回、2度目の更新を行いました。

 今回の更新は、海賊版対策の取組について、海賊版へのアクセス抑止、著作権侵害に対するエンフォースメント、負のエコシステムに対する対策の観点から再構成するとともに、民間企業との連携を強化するため、「官民会議」の設置などを新たに盛り込んでおります。

 この総合対策メニューに基づく取組を、関係省庁との連携の下、進めてまいります。

 

 

2.質疑応答

 

(問)先日、東京海洋大学が、キングサーモンの卵や精子を毎年産み出せるニジマスを開発しました。ただ、これは、今後の養殖業にとっては、すごいメリットがあるのですが、一方で、国内でそうした魚を流通させるためのルールが未整備の状態です。こうした研究成果を生かすための社会制度の整備について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

 

(答)まずは、東京海洋大学などの研究グループが、キングサーモンやベニザケのように、1回産卵すると死んでしまうサケ類の卵や精子を何度も生産できるニジマスの作出に成功されたことは、私も報道で承知しておりまして、とても興味深く喜んで拝見しておりました。

 高級なサケ類の養殖生産の効率化に貢献するのみならず、その品種改良も大きく加速させることが期待される成果ということで、これは明るいニュースだと思っております。

 この研究は、文部科学省の「科研費」や「未来社会創造事業」などの支援を受けてきたものでございます。

 今のお尋ねですが、この研究成果を活用して養殖されたキングサーモンを仮に流通させるといった場合に、特段の規制はないと考えております。ですから、特にハードルがあるわけではないのですが、こういった優れた研究成果の恩恵が、国民の皆様に幅広く行き渡ることが重要だと考えております。

 

(問)宇宙関係でお願いします。JAXAと欧州のESAが共同で開発した地球観測衛星の「EarthCARE」について、近く米国から打ち上げられると聞いています。衛星に対する御期待と、あともう1点、日本はNASAとの協力関係が非常に深いと思いますが、欧州のESAとさらに関係強化するという部分で、今後どう取り組んでいくのかを教えてください。

 

(答)「EarthCARE」につきましては、気候変動予測の精度向上のために、雲とエアロゾルの全地球的な観測を行う衛星として、正に今おっしゃっていただいた欧州宇宙機関と日本のJAXAや、NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)が協力して開発を進めてきました。

 具体的に、日本側におきましては、日本の民間企業とも連携して、台風などの厚い雲の内部まで捉えることができる「雲プロファイリングレーダ」を開発・提供しております。

 現在、ESAにおきまして、日本時間で5月29日午前の打上げに向けて、最終調整中と伺っております。

 これまでも、G7の機会でもそうでございましたけれども、欧州各国とも、こういった宇宙関係での協力の話は進めさせていただいております。ESAや、その構成国をはじめとした、同志国との新しい技術の開発や共同研究、また国際的なルール作りに取り組んでまいりたいと思っております。

 

(問)原発処理水の関係で伺います。日中首脳会談で、福島第一原発からの処理水を巡って、事務レベルでの協議の加速で一致しました。一方で、中国側はいまだに「核汚染水」と呼び続けているようです。日中間で進んだ面もありつつも、まだ理解が不十分だと思われる点がありますが、原子力を担当する大臣として、可能な範囲で教えていただけないでしょうか。

 

(答)ALPS処理水の海洋放出を巡る日本の立場につきましては、政府としても、外務省や経済産業省を中心に、これまで様々な機会に丁寧に説明をして、国際社会から幅広い御理解をいただいていると思っております。引き続き、政府が客観的かつ正確な情報を提供することで、ALPS処理水の安全性について、国際社会の一層の御理解を得ることが極めて重要だと思っております。

 中国の首脳の発言について詳しく承知をしているわけではございませんけれども、報道を見ておりますと、中国人の観光客の方々がたくさん日本に来られて、日本の海鮮を楽しんでおられる姿も拝見しております。ですから、日本に来なければ食べられないというのも一つのメリットかと前向きに捉えつつも、大切な貿易の関係もございます。また、生産者の方々の予見可能性を高めるという大事なことでもございますので、科学的根拠に基づく丁寧な説明を政府として続けていくべきことであろうと考えております。

 

(問)発表事項にありました、AI時代の知的財産検討会のところで、「中間とりまとめ」が終わりましたけれども、改めて所感をお伺いしたいのと、その中で特にAIの創作物に関して、自然人、人間を開発者とすべきだという考え方も示されていますが、これについて大臣のお考え等あれば、改めてお伺いしたいと思います。

 

(答)「中間とりまとめ」でございますけれども、大変な御苦労を関係者にいただきました。

 今後ですけれども、AI事業者や権利者など、各主体に分かりやすいように、今回の「中間とりまとめ」を踏まえた「手引き」などを作成して、周知・啓発を進めてまいりたいと思っております。

 また、今年4月に総務省と経済産業省が策定した「AI事業者ガイドライン」との接続も意識しながら、効果的に周知を行う方法について、両省とも連携していきたいと思っております。

 そして、人間を「発明者」にすべきという部分ですが、今回の「中間とりまとめ」におきましては、「AIを利用した発明の取扱いの在り方」が含まれております。

 「現時点では、AI自身が、人間の関与を離れ、自律的に創作活動を行っている事実は確認できておらず、依然として自然人による発明創作過程で、その支援のためにAIが利用されることが一般的」であるとした上で、「このような場合については、発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与した者を発明者とするこれまでの考え方に従って自然人の発明者を認定すべき」との考え方を示しております。

 発明制度は、特許庁が所管しておりますが、今回は「知的財産権全体」を俯瞰する観点から、論点整理を行ったということです。

 ただし、今後、AI技術のさらなる進展によりまして、AIが自律的に発明の特徴的部分を完成させることが可能となった場合の取扱いにつきましては、ユーザーニーズなども踏まえながら、発明者認定への影響を含めて、発明制度を所管される特許庁が、引き続き必要に応じた検討を関係省庁と連携しながら進めていくことになると考えております。

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