令和6年5月24日 記者会見
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1.発言要旨
知的財産戦略担当大臣として報告を申し上げます。
今般、知的財産戦略本部の下に、新たに「国際標準戦略部会」を設け、5月27日(月)に、その初会合を開きます。
この部会におきましては、国際ルールをおさえてビジネスを有利に進める観点、ひいては、経済安全保障の観点からも、有識者の皆様に「国際標準化」の取組に必要な政策を検討いただき、官民挙げて取組を強力に推進したく存じます。
当面は、「国際標準化」を戦略的に推進する領域や、内閣府予算の「関係省庁の重点施策」への配分に関する検討を行うとともに、「国家標準戦略」の策定に向けた具体的な内容の検討をお願いすることといたします。
部会には、知的財産戦略本部のメンバーでもいらっしゃいます遠藤NEC元会長を座長とする、13名の有識者に御参画いただきます。
2.質疑応答
(問)先日、創薬力向上の構想会議で中間取りまとめを行ったのですが、その中で、創薬力向上のための様々な施策が盛り込まれました。大臣として、この中間取りまとめに対する受け止めと、あと、今後、第3期健康・医療戦略やAMEDの次期中長期計画に、どのように反映させていこうというお考えなのか教えてください。
(答)おっしゃっていただいた会議では、シーズの探索から医薬品の開発まで、一気通貫で創薬エコシステムの構築を目指す議論がなされ、一昨日に中間取りまとめが行われたと聞いております。中間取りまとめでは、創薬に関して、幅広い視点から、産官学を含めた全体的・総合的な構想が描かれておりますので、貴重な御提言だと思っております。
私の関係で言いますと、特に研究開発についてでございますが、アカデミア・スタートアップの研究開発支援の充実、知財・ビジネス戦略の確立、持続可能な創薬力の維持・向上のための基礎研究振興、AIやロボティクスと創薬など分野融合、そして医療DXに関する提言が盛り込まれております。
第3期健康・医療戦略やAMEDの次期中長期計画の策定に当たっては、これらをしっかり反映してまいりたいと考えております。
(問)先日、フュージョンエネルギー産業協議会の設立記念会が開かれました。大臣も出席されたと思いますが、この産業協議会への期待を教えてください。
(答)設立記念会に参加させていただいて、企業の皆様の熱い思いをひしひしと感じました。
特に、昨年4月に策定した国家戦略がビジョンとして掲げた、「フュージョンエネルギーの産業化」に向けた新たな一歩を踏み出すことができたと嬉しく思っております。
フュージョンエネルギーの産業化のためには、これまでITER計画などに関わってこられた企業はもとより、多くの日本の企業の力が必要になります。
特に、J-Fusionは、メーカーだけではなくて、商社、電力、IT、建設、材料、金融など、実に多様な業界・業種の企業で構成されておりますので、他国の業界団体とは異なった、日本独自の団体となっていると思っております。より多くの日本企業に参加していただくことによって、オールジャパンのチームができることを期待しております。
内閣府としては、J-Fusionがせっかくできたわけですから、よく連携を取りながら、「安全確保の基本的な考え方」を策定することを急ぎたいと思っております。
フュージョンエネルギーの早期実現はもとより、関連産業の発展に向けて取組を加速したいと考えております。
(問)関連でもう1点、先日ラジオNIKKEIさんのポッドキャスト番組を伺ったのですが、核融合発電の実証時期を2030年代に前倒しすることを提唱されていました。今後、政策にはどのように反映させていくのか、大臣のお考えを教えてください。
(答)フュージョンエネルギーは、エネルギー安全保障や環境問題を解決する、次世代のエネルギーですから、新たな産業として国際開発競争が激化しております。これは何年も前からですけれども、アメリカやイギリスを中心に、各国が大規模な投資を実施してきております。それぞれが国策として、自国への技術・人材の囲い込みを強めております。
これまでのITER計画などを通じては、どう見ても技術的優位性を我が国は持っておりますので、この競争に打ち勝っていくために、昨年、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定いたしました。この国家戦略の策定によって、研究開発を諦めない勇気をもらったというお声も、スタートアップの方々から伺っております。
この戦略に基づいて、小型化・高度化といった独創的な新興技術を支援するために、フュージョンエネルギーに関する「ムーンショット目標」を新たに決定したことに加えまして、スタートアップの有する先端技術の社会実装を促進するために、SBIR制度の活用を開始することで、研究開発を強化してきております。また産業協議会も設立されましたので、フュージョンエネルギーの産業化に向けた環境も整っております。
私の思いでございますけれども、自民党からも早期実現に向けた応援もいただいておりますが、やはり野心的な目標をしっかりと打ち出すことが重要だと考えました。2030年代という私自身の強い期待を述べさせていただきました。
国家戦略におきましても、文部科学省のロードマップにおける2050年頃という発電の実現時期について、ITER計画の進捗及び諸外国で掲げられている野心的な目標も踏まえ、できるだけ早く明確化するとしておりますので、技術の進展も早く、予測もできないことはございますが、公募中のムーンショット型研究開発などによって、やはり2030年代の発電実証を目指していきたいと考えております。