令和5年11月17日 記者会見
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1.発言要旨
経済安全保障担当大臣として報告を申し上げます。
本日、経済安全保障推進法の基幹インフラ分野につきまして、特定社会基盤事業者の届出事項等に関する各事業所管省庁の主務省令が施行されました。
また、各事業所管省庁において、特定社会基盤事業者に指定された事業者を官報で公示しました。
基幹インフラ分野に関する制度につきましては、これにて全ての政省令の整備を終え、これから6か月間の経過措置期間を置いた後、来年5月17日から制度の運用を開始することになります。
引き続き、制度の円滑な運用開始に向けまして、事業所管官庁とも連携をしながら、指定事業者などへの周知・広報や、事前相談への対応をしっかりと行ってまいります。
2.質疑応答
(問)ムーンショット制度についてお聞きします。ムーンショットは元々、失敗を恐れず挑戦的な課題に取り組むということでしたが、現場の研究者に聞くと、非常に細かくマイクロマネジメントが行われて、管理的に過大な進捗管理が行われているという声を多く聞きます。本来の失敗を恐れずではなく、失敗しないよう、恐れているように見えますが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)ムーンショット型研究開発制度につきましては、その基本的考え方におきまして、「我が国の基礎研究力を最大限に引き出す挑戦的研究開発を積極的に推進し、失敗も許容しながら革新的な研究成果を発掘・育成に導くこと」としております。
昨日開催されましたCST有識者者議員懇談会での目標4の山地プログラムディレクター(PD)の報告では、3年目評価において3件の中止があったという説明がなされたと聞いております。ただ、この3件につきましては、当初の計画どおりに終了したもの、あるいは一部成果を出してスピンアウトしたものだということで、失敗を許容しながら山地PDが運営を行っているのだろうと思っております。
御指摘のような「失敗をしないように」「管理的に」運営が行われているとは思っていないのですが、現場でそのような声が上がっているのであれば、大変残念ですし、「そのような運営が行われていないのか」、また「他に課題はないのか」ということにつきましても、改めて、関係府省、研究推進法人とも連携しながら、担当部局においてきっちりと確認をしていただかなければいけないと思います。ですから、そのように指示をいたします。丁寧に現場の声を聞くことは、とても大事だと思っております。
(問)宇宙関係で伺います。
内閣官房とJAXAが今週の月曜日に、H-ⅡAロケット48号機を来年1月に打ち上げると発表しました。情報収集衛星を搭載するということですが、大臣の所感を教えていただけるとありがたいです。
(答)発表があったとおり、来年1月11日にH-ⅡAロケット48号機が打上げ予定でございます。
まず、ロケットについてですけれども、H-ⅡAロケットは、今年1月の46号機、それから9月の47号機も、打上げに成功しております。着実に実績を重ねてきた基幹ロケットでございますので、次回の打上げにも期待をいたしております。
打上げ予定の情報収集衛星光学8号機ですが、2018年に打ち上げた光学6号機の後継機に当たる衛星でございます。ただ、性能や機能は向上しているということでございます。
今、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しく、また不確実性を増しておりますので、情報収集衛星は、今年6月13日に閣議決定しました「宇宙基本計画」におきましても、「宇宙からの安全保障」の枢要な課題として位置付けられております。着実に機数を増やして、情報収集能力の向上を目指すことになっております。
この性能が上がっていく、それから今後「宇宙基本計画」のとおり、上げる衛星の種類と、それぞれの機数も変わってまいりますので、情報収集能力がしっかり強化されることを期待しております。
(問)JAXAの大西卓哉宇宙飛行士が25年頃の国際宇宙ステーション(ISS)滞在が決まったと先日発表がありました。どのような活躍を御期待されるか、教えてください。
(答)大西飛行士のISS搭乗は、これで2016年に続いて2回目になります。
大西飛行士が記者会見で、「月面での活動を見据え、初の船外活動に挑みたい」と意欲を語っておられました。また、前回の搭乗以降、これまでの間に、地上でISS日本実験棟である「きぼう」の運用管制業務をする「フライトディレクタ」の御経験もあるということでございます。
ですから、ISSの運用に精通しておられる強みを生かして、存分に御活躍いただきたいと思っております。健康に留意されて、訓練に邁進していただきたいと思っております。
(問)冒頭御発言があった基幹インフラの件で確認です。先月の時点で、見込みで209社という数字、対象となる事業者が出されていたと思いますが、今回、最終的に何社になったのか伺います。また、これでいよいよ事業者側に経済安保推進法に基づいて具体的な対応を求めることになるかと思いますが、事業者側にはどのような考えで、どのような姿勢で対応に当たってもらいたいか、考えをお聞かせください。
(答)特定社会基盤事業者でございますけれども、前回、10月4日の時点で予見可能性を持っていただくということで、ウェブ上に提示したのは209事業者でございましたが、今回、昨日の時点で計210事業者を指定することになりました。
これは、10月4日以降に、まず発電事業者について、今後発電を開始する予定の2つの事業者を指定することとなりました。これは、出力50万キロワット以上の設備を有するといった要件に合致する事業者だからでございます。
また水道用水供給事業については、1事業者が指定基準に該当しなくなったと、要は、1日当たりに供給する水の量が基準より少なくなったということで、これを減らしましたので、結局、数としては1事業者増えたということになります。
どういうことを期待するかということですが、法の元々の目的に基づいて、基幹インフラをしっかり守っていただかなければなりません。特に、サイバー攻撃などに強い体制もつくっていただかなければいけない、安定供給を確保できる体制をつくっていただかなければなりませんので、しっかりとしたお取組を期待いたします。
(問)今週水曜日に、大臣、勉強会を立ち上げられたということで、初回はサイバーやインテリジェンスなどを扱ったということですが、この勉強会は今後どういうテーマを扱っていくものなのか、教えていただけますでしょうか。
(答)これは自民党本部に届出をした議員連盟でございますので、あまり大臣会見で申し上げるのがふさわしい話題だとは思いません。私自身の担務についてということであればよろしいのですが、どうでしょうか。
(問)度々ですみません。初回のテーマがサイバーやインテリジェンスなど、大臣の担務にも関わってきているのかと思ったので、勉強会では、大臣の所管に関わるようなことなども取り扱っていくのか、という趣旨でお伺いします。
(答)「『日本のチカラ』研究会」、略称「国力研」ということですけれども、山田宏参議院議員が事務局を務めてくださっていますけれども、会長も含めてまだ決まっておりませんので、私主催の勉強会というものにはなっておりません。
それから、テーマですけれども、岸田内閣で去年の12月に閣議決定しました「国家安全保障戦略」に、国力を強くするということが書かれております。国力について、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力といったものが例示されておりましたけれども、全部に共通するのは人材力でもありますので、岸田内閣で閣議決定した「国家安全保障戦略」の中の国力の各要素を深掘りして、講師を呼んでいこうかというようなことになっております。
ですから、勉強会といっても議員連盟ですから、その勉強した成果の内容によって、例えば、こういう政策を内閣は行うべきだというようなことがまとまってきましたら、各所管大臣に申入れをするようなことも可能だと思います。またそれぞれの出席者の方、テーマごとに来られる方は、多分変わってくると思いますので、現在45名の入会者の方々が特に興味のある回に出席された後に、自民党の政調会の中での議論に役立てていただくようなことが想定されるかと思います。
私の担務でいいますと、経済力、技術力、情報力になるかと思います。今週聞いた講師の先生の話は、サイバーセキュリティーといっても、アクティブ・サイバー・ディフェンスの話でございましたので、直接の担務ではなかったのですが、ただ、これから情報力、技術力、経済力などといった講師の先生が来られたときには、しっかり参加して学ぶ、また担務に活かしていけるような情報を得られることを、すごく楽しみにしております。