令和5年9月5日 記者会見
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1.発言要旨
冒頭発言なし
2.質疑応答
(問)がんなどの診断用AIは今、20件以上も承認されているのですが、現場でなかなか普及しないのは、診療報酬の対象になってないと。せっかく作って医療機器として承認を受けても、診療報酬の対象外になっているためになかなか普及が進まないということで、こうした現状について大臣はどのようにお考えなのか。こういうイノベーションを社会実装するために、こうした課題を解決しなければいけないかと思いますが、改善策についてどのようにお考えでしょうか。
(答)AMEDでは、「健康・医療戦略」(令和2年3月27日閣議決定)に基づきまして、AIを活用した医療機器の開発も支援しております。医療機器の中でも、特に診断機器につきましては、画像診断装置を中心に日本企業が世界市場において一定のシェアを持っております。強い分野なんですね。ただ言っていただいたとおり、AIを活用した医療機器の普及が進んでいないと。理由としては、診療報酬の問題が大きいと思っております。
健康・医療戦略担当大臣としましては、国民の皆様が質の高い医療を受けられるように、これからも医療機器の開発支援などをはじめ、医療分野の研究開発にしっかりと取り組んでいくということだと思います。
研究開発成果の普及につきましては、医療保険制度でございますので、所管する厚生労働大臣にお尋ねをいただけたらと思います。
(問)高市大臣は今月1日に、宇宙関連のスタートアップ企業であるシンスぺクティブ社とアストロスケール社を視察されたと思います。この2社を視察されてどのような感想を持たれたかと、「宇宙基本計画」にはJAXAの資金供給機能の強化が盛り込まれていますけれども、今後、政府として日本の宇宙ビジネスをどのように発展させていくのか、教えていただけますでしょうか。
(答)まずは企業を視察させていただいての感想ですけれども、シンスぺクティブ社では小型SAR衛星の開発に取り組んでおられますが、悪天候や夜間であっても、非常に広範囲で詳細な画像が撮影できます。
また同社は、撮影した画像の分析やソリューションの提案もされているということで、素晴らしい取組だと思っております。特に災害が発生したときに、早期の被害情報の把握ができるということ、また迅速な災害対応ができるということで、そういった分野での貢献を特に期待しております。
アストロスケール社につきましては、軌道に存在するデブリに接近して、その状況を明らかにするために今後打ち上げる衛星を実際に見せていただきました。これは世界初となる試みでございます。デブリ除去を含む軌道上サービスにおいて不可欠な要素ですので、是非成功していただきたいと思っています。
特にスペースデブリ対策につきましては、あえてG7科学技術大臣会合で議長として議題に取り上げさせていただき、大臣会合のコミュニケにも入りましたし、広島の首脳によるサミットでも成果文書に入りましたし、また新しい「宇宙基本計画」にもしっかり盛り込むことができました。
ですから、我が国の企業が、世界最先端と言える技術を持って、スペースデブリの発生抑制や削減に貢献してくれることを期待しています。そのために、国際ルールを作っていくという議論にも今後とも貢献していきたいと思っております。
宇宙ビジネスを発展させる方策についてですが、宇宙の開発・利用は多くの民間企業によって支えられております。今回視察をさせていただいたスタートアップも含めまして、多くの企業が宇宙産業に参入していただくことが大事だと思っています。
今年の6月に閣議決定した「宇宙基本計画」では、我が国が開発すべき技術とそのタイムラインを見極めて、「宇宙技術戦略」を新たに策定することになっております。「宇宙技術戦略」を策定して、それを着実に実行に移すためには、産学官の結節点となっているJAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化していかなければならないと考えます。大学や民間事業者などが行う先端・基盤的な研究開発や、事業化に向けた研究開発を支援することで、活性化していく必要がございます。
ですから、具体的には、令和6年度の概算要求では、内閣府と文部科学省、総務省、経済産業省におきまして、JAXAの資金供給機能の強化に向けた要求を行っております。
今後、具体的な資金供給機能の強化の在り方について、さらに検討も進めてまいりますし、今回、非常に熱意のある世界最先端を走る企業を訪問して直接お話も伺いましたので、改めて日本の宇宙産業の成長に向けた可能性を痛感いたしましたから、しっかりと支援の体制を整えていきたいと考えております。
(問)明後日7日にH-ⅡAの47号機の打上げが再設定されました。天候が理由で延期が続いていましたが、改めて御期待をお願いします。
(答)H-ⅡAロケット47号機に搭載します「XRISM」ですが、我が国が得意とするX線観測の分野で成果を上げることを期待しています。
また「SLIM」でございますが、我が国として初の月面着陸に成功することを期待しています。
さらに、H-ⅡAロケットは、我が国の宇宙活動の自立性の確保、国際競争力強化のために重要な基幹ロケットでございますので、関係者の皆様には、打上げの成功に向けて頑張っていただきたいと思っております。
(問)セキュリティ・クリアランス制度の法整備について、本日午前、大臣は総理に現在の検討状況を報告されました。改めて現在の検討状況と今後のスケジュール感について伺います。
また、早ければ来週にも内閣改造との報道も一部でありますけれども、大臣が非常に思い入れの強いセキュリティ・クリアランス制度の報告について、このタイミングでできたということについて、所感を伺います。
(答)総理に、このセキュリティ・クリアランスの制度化に向けた検討状況を御報告に上がりたいということで、先月からお時間をいただくようにお願いしておりまして、たまたま今日になったということでございます。特に人事等との関連はございません。
これまで、セキュリティ・クリアランス制度については、日本にとって非常に重要で、なおかつ急ぐべき取組だということは、度々申し上げてきております。今日も総理に説明を申し上げる中で、サイバーセキュリティー対策をしっかりと日本が強化しようとなりますと、日本国内の話でしたら、例えば政府のどこかの役所のセキュリティー対策を強化しようということになると、その脆弱性がどこにあるのか、どのように強化するのかといった情報を情報通信関連企業と共有することになります。また、先ほど話題に出ました宇宙も、災害やインフラの老朽化対策など、いろんなことに使える技術が日本にはございますけれども、「宇宙安全保障構想」もできましたから、そういう意味では多岐にわたる分野で活用できる技術がございます。
そういったことを考えますと、情報通信関連事業者の民間人の方や、宇宙関連のスタートアップに勤めておられる民間人の方がクリアランスを持ってないということになると、日本国政府との情報共有もなかなか難しい時代になってきているし、また他国の政府調達や他国の民間事業者とのやり取りにも参加できなくなる可能性がございます。だからこそ急いでいます。とにかく日本企業のビジネスチャンスをできるだけ広げていきたいと、この一念でございます。
ですから、非常に重要で、なおかつ急ぐべき課題であることについては、先ほどの説明で総理にも共有していただいたと思っております。
関係各省との調整も進めてまいりましたけれども、引き続きそれも進め、なおかつ各党、与党などとの調整も進めながら、できるだけ速やかにということで、法制度整備に向けて頑張っていきたいと思っております。
具体的な時期については、今申し上げるべきではないと思っておりますが、できるだけ早くということで頑張らせていただいております。
(問)今の質問に少し関連して、先月、大臣がラジオに出演された際に、セキュリティ・クリアランスについて総理に一旦、検討状況を御報告した上で、もう一度有識者会議を開くとおっしゃっていたかと思います。そうしますと、次回が最終回になるということでよろしいでしょうか。もし最終回なのであれば、最後の大詰めの状況だと思いますが、今残っている検討課題について、改めて伺えればと思います。
(答)今日、このセキュリティ・クリアランス制度を構築する上で必要な法律案のイメージについて御説明を申し上げました。その上で、これは法律案にしていくわけですから、もう一度有識者会議の先生方にも御協力をいただいて、よくよく細部を見ていただかなければなりません。
ですから、1回だけ開くのか、2回、3回と開くのかは分かりませんが、私の目標は、これまでも申し上げておりますとおり、次期通常国会への提出を目指すということでございますので、必要な議論が尽きるまでしっかり見ていただきたいと思っております。1回で終了するか、2回、3回になるかは今、何とも申し上げられません。