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令和5年6月20日 記者会見

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1.発言要旨

 

 科学技術政策担当大臣として報告をいたします。

 本日の閣議におきまして、「令和4年度科学技術・イノベーション白書」を閣議決定いたしました。

 科学技術立国を実現するためには、地域に根ざす大学、高等専門学校、企業などが、その各々の強みを活かしつつ、地域からイノベーションを創出し、地域社会への還元や雇用創出など、地域の魅力を拡大させていくことが重要です。今回の年次報告では、それらに関連する取組について、国民の皆様に分かりやすく紹介をしております。

 科学技術・イノベーションの重要性を国民の皆様に理解していただくために、科学技術政策担当大臣として、積極的な情報発信に努めてまいりたいと存じます。

 もう1件ございます。6月15日(木)、国立研究開発法人産業技術総合研究所の職員が、不正競争防止法違反の容疑で逮捕されました。

 大学や研究機関においては、「研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクに対する研究インテグリティの確保に係る対応方針について(令和3年4月27日 統合イノベーション戦略推進会議決定)」

に示されておりますように、所属する研究者の人事及び組織のリスク管理として、必要な情報、職歴、研究経歴、兼職や外国の人材登用プログラムへの参加など全ての所属機関と役職、また外国の機関や大学等からの補助金・助成金・報酬・物品提供など、こういった事項の報告及び更新を適切に受けるとともに、利益相反・責務相反をはじめ、関係の規定及び管理体制を整備し、報告、更新を受けた情報に基づいて、適切なリスクマネジメントを確実に行うことが必要でございます。

 このため、本日の閣僚懇談会におきまして、私から改めて各閣僚の皆様に対して、所管しておられる大学や研究機関における研究インテグリティの確保の徹底をお願いいたしました。加えて、本日、私から関係各府省の担当局長宛てに、同趣旨の文書を発出する予定でございます。

 そもそも国立研究開発法人は、法律に定められたミッションに基づいて、国家基盤プロジェクトなどへの参画等を通じて、重要課題に取り組み、我が国の科学技術力の強化にとって重要な役割が期待される研究機関でございます。

 国立研究開発法人の情報が漏えいすることは、我が国の国益を損ない得るものでありますし、経済安全保障の観点からも非常に問題が大きいと考えております。各法人で、情報セキュリティなどの強化も含めて、機密情報がしっかり守られるように、必要な体制を整えて着実に対応していただきたいと考えております。

 私からは以上でございます。

 

2.質疑応答

 

(問)経済産業省が、イノベーションボックス税制の導入について税制改正要望に盛り込むことを検討しているようですが、大臣としては、イノベーションボックス税制についてどのように評価されているんでしょうか。

 

(答)イノベーションボックス税制は、国内で開発された特許権などの知的財産権から発生した所得に対して、優遇税率を適用する制度でございます。現在、フランス、イギリス、イタリア、インド、シンガポールなど各国で導入実績がございます。

 こうした制度は、イノベーション拠点としての立地競争力の強化に資すると思いますし、民間企業による研究開発投資や、その成果の社会実装を促進させるという効果があり得ると認識しております。

 本件につきましては、「骨太の方針」におきましても記載があり、「民間企業による知的財産の創出等に向けた研究開発投資を促すための税制を含めた施策の在り方について、引き続き検討を進める。」とされております。

 現在は経済産業省において、産業界や有識者の方々と議論を深めておられると聞いております。詳細については経済産業省にお問い合わせをいただきたいのですが、内閣府としましても、関係省庁と連携して、我が国の国際競争力に直結するイノベーションの強化に向けて、取り組んでまいりたいと思っております。

 

(問)先日、JAXAが、2024年頃に国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士として、油井亀美也さんを選ばれたと発表しました。大臣としての受け止めとか御期待があれば、お願いします。

 

(答)6月16日に、JAXAの油井亀美也宇宙飛行士が2024年頃、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在されることに決まったという発表がござ居ました。油井飛行士のISS登場は、2015年に続いて2回目となります。

 政府としましては、宇宙飛行士の御活躍によりまして、地球低軌道の利用拡大が進み、国民の皆様の宇宙開発利用への理解も増進すると考えておりますので、日本人宇宙飛行士の活動は意義がございます。

 さらに、宇宙飛行士の安全確保のためにも、前から申し上げておりますスペースデブリ対策を、とにかく進めなければならないと思っております。先日、閣議決定しました「宇宙基本計画」には、これらに係る取組を推進することも盛り込みましたので、しっかりと実行してまいりたいと思っております。

 油井飛行士でございますが、先週金曜日の記者会見で、「日本人を代表して、人類の未来のために働いているところをしっかり見せ、成果を残せれば、その頑張りと成果を見て、日本の方々が日本という国を好きになり、誇りを持ってくれると思っている」とおっしゃっておりました。

 油井飛行士がおっしゃるとおり、宇宙を舞台とする御活躍は、国民の皆様に、日本への誇りを与えてくれると思っております。どうかお体をお大事になさって、今後の訓練に臨んでいただきたいと思っております。期待と応援をいたします。

 

(問)先日、学術出版社のシュプリンガー・ネイチャーが、2022年に主要科学誌に掲載された論文数などに基づいて、世界の研究機関の研究力ランキングの最新版を公表しました。国別では中国が米国を抜いて1位、また研究機関別でも、トップ10のうち6機関が中国の研究機関だったという点、一方で日本は前年と同様、5位ですが、スコアについては9.6%落としていて、トップ5の国の中では、最もスコアを落としていたという形となりました。中国の躍進と、現在の日本の現状について大臣の受け止め、あるいは背景に何があるのか、お考えを伺えないでしょうか。

 

(答)中国は、自然科学分野4分野、物理科学・化学・生物科学・地球環境科学における研究に総合的に貢献したということが認められて、この自然科学分野における国別ランキングで前年の2位から1位に浮上し、日本は、前年同様、5位だったということでございます。

 ランキングは多様なものがあり、評価指標も様々ですから、順位について一概に評価するのは難しいんですけれども、ただ、TOP10%の補正論文数などの国際順位でも示されておりますが、近年、我が国の研究水準の相対的な立ち位置が低下していることは、事実だと思っております。

 他方、中国は、相当科学技術に力を入れております。日本も負けてはおられません。現在の状況を脱却するために、10兆円規模の大学ファンドを通じて、世界に伍する研究大学の研究基盤を長期的かつ継続的に支援することによって、我が国の研究力を抜本的に強化するほか、地域の中核大学、特定分野に強みを持つ大学の機能強化も併せて支援します。

 さらに、創発的研究支援事業のように、若手研究者が自由な発想に基づいて挑戦的な研究に取り組める事業、博士後期課程学生への経済的な支援充実などの研究環境の改善を図ってまいりたいと考えております。

 

(問)冒頭の産業技術総合研究所の職員の件に関しまして、大臣から研究インテグリティの徹底を閣僚懇談会でお願いしたということですが、経済安全保障担当相としてお願いされたということでしょうか。また、各閣僚からの反応等があれば、お聞かせください。

 

(答)科学技術政策担当大臣としての立場で登録して発言させていただきました。私の発言の後、西村経済産業大臣から御発言がございましたので、官房長官にお聞きいただければと思います。

 

(問)関連して、今日、各局長にも通知を発出するということですが、通知の結果、どういうふうになったかなどフォローアップについてはどのようにお考えでしょうか。

 

(答)もちろん、フォローアップもしなければいけないと思っております。これは非常に深刻な問題であると思います。前回も申し上げましたけれども、これは日本人、外国人といった国籍に関わりません。例えば帰化をされたら日本人になりますし、日本人でも海外の機関からお金を受け取って情報を持ち出すような可能性はゼロではございませんので、やはり技術情報の管理、これを徹底して行っていただくということが重要だと思っております。

 文書を発出いたしますので、その後のフォローアップも含めて、また更に改善点がないかも、しっかりと検討してまいりたいと思います。

 閣僚懇談会でも紹介したのですが、各国立研究開発法人設置法には、「機構の役員及び職員は業務に係る職務に関して知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職を退いた後も、同様とする」、こういった規定が条文に入っており、さらに、「この規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(罰金額は法人によって異なる)に処する」となっておりますので、法律としては、ちゃんと歯止めがあるわけでございます。

 ただし、それぞれの国立研究開発法人の理事長を始め、役員、職員の方が、こういう法律もあるということ、そして、政府としては、これまでお示しした目標について、フォローアップをしていますが、それが十分ではない。つまり、産業技術総合研究所にしても、示された3つの項目については全て対応済みという回答をしていたわけでございますから、それがまだ十分ではないと、私は理解いたしております。

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