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2016年3月4日 記者会見

更新日:

〔冒頭発言〕

 皆様、おはようございます。
 本日、官邸は、閣議、閣僚懇のみでございました。

【「マイキーくん」によるマイナンバーカードのメリットに係る周知・広報(1)】

 まず、冒頭に申し上げます。マイナンバーカードには、法律で定められました税、社会保障、災害対策分野にしか使えないマイナンバーの「マイナ」部分と、もう1つ、民間でも御活用をいただけます「公的個人認証」及び「ICチップの空き領域」、いわゆる「マイキー」の機能が搭載されております。
 「マイキー」部分には、様々な可能性がございます。例えば、マイナンバーカードを公共施設や商店街などに係る各種サービスを呼び出す共通の手段として使うことができましたら、住民の皆様にカードの便利さを実感いただくとともに、また、独自に高度なカードを発行するのがなかなか難しいといった地域の商店街等もございますので、地域経済の活性化にもつながるのではないか、と考えています。
 そのため、御承知のとおり、現在、いわゆる「マイキープラットフォーム構想」の実現に向けて、省内で検討を進めております。
 ちなみに、「マイキー」部分をお使いいただきましても、カード自体にはどういった購買履歴があるとか、どういうふうにポイントを使ったかとか、こういった個人情報は残りませんし、また、マイナンバーそのものも使いません。例えば商店で使っていただくような場合でしたら、カードリーダーに対して自分でカードをかざしていただくということで、お店の方にカードそのものを手渡していただく必要もございません。
 総務省では、「マイキー」を象徴するキャラクターとしまして、「マイキーくん」を作っていたのですが、今までは説明書類の印刷物の上にあるだけでございましたが、様々な場面での周知・広報を考えまして、この度、「マイキーくん」を着ぐるみにいたしまして、ようやく完成しましたので御紹介を申し上げます。
 「マイキーくん」は、「マイキー」のうち、公的個人認証制度の根幹をなす「鍵」を確実・誠実に守る忠犬の姿をイメージして、総務省の職員がデザインしてくれたものでございます。
 なお、この「マイキーくん」の着ぐるみでございますけれども、これはお貸し出しをすることが可能でございますので、「マイキー」部分を利活用しようとしてくださる自治体や企業等においても、この「マイキーくん」を御活用いただき、積極的に周知・広報に御協力をお願いしたいと存じます。
 ということで、マイキーくん、お疲れ様でございました。
 私からは、以上です。


〔質疑応答〕

<中央省庁の地方移転>

問: 幹事社から質問させていただきます。国の機関の地方移転に関連して1問質問させていただきます。
 国の機関の地方移転においては、文化庁の京都府への移転などが、基本方針案が明らかになっています。この方針の中では、和歌山県が希望していた統計局について、一部の職員が現地で業務を行う実証実験などを行った上で、今年の8月末までに結論を得ることを目指しているとされています。
 この基本方針案に対する大臣の受け止めと、改めて地方創生が安倍政権の努力課題の1つと位置付けられる中で、和歌山県から希望のある統計局の移転に対する大臣のお考えをお聞かせください。

答: 中央省庁の地方移転につきましては、現在、政府部内で検討を進めております。3月中に基本方針を取りまとめる方向だと伺っています。
 中央省庁の地方移転については、「全国の中でなぜそこなのか」、「全国的なメリットがデメリットよりも大きいと理解が得られるか」、「政策執行における効率性の維持・向上が期待できるか」という観点から、政府部内で検討を進めていこうということになっております。
 和歌山県から御要望いただいております統計局の案件につきましても、政府部内で、今、申し上げましたような観点に沿って検討中という状況でございます。まだ、正式な発表ができる状況ではございませんので、御理解くださいませ。

<マイナンバーカード発行の不具合>

問: 朝日新聞の内藤です。マイナンバーカード、冒頭でも御説明がありましたが、それについてお伺いしたいのですが、市区町村の方で発行業務が、システムの不調でなかなかうまくいかないという事例がまだ続いていると聞いておりまして、その完全復旧や原因については見えてきたのかどうかということを教えてください。
 それとですね、自治体の方でも住民に迷惑をかけないために、もう既にホームページなどで、窓口に来てもカードを渡せない可能性がありますというような広報を始めていたりするのですが、こういうのは過剰反応というべきなのか、それとも1月にいくつかの自治体がカードの発行を自ら止めたように、むしろ積極的に自治体の側で対応を取っていくべきなのか、大臣の考えをお聞かせください。

答: 1月中旬以降でございますけれども、J-LISのカード管理システムが一時不安定な状況となりまして、多くの市区町村でマイナンバーカード交付の業務が行えなくなったという事案が複数回発生しました。
 この原因でございますが、J-LISにおいて詳細を調査中であります。障害の事象として、中継サーバや業務サーバに不具合が発生していると考えられます。
 当面の対応ですけれども、住民の皆様に御迷惑をおかけすることのないように、カード管理システムの中継サーバを2台から4台に増設するとともに、サーバの状況を常時監視して、事象が発生した場合には迅速に再起動を可能にするという、即応体制は構築したと承知しています。
 J-LISにおいて、サーバに異常な状態が見つかれば、直ちに再起動を行うことにしていますので、住民サービスへの影響は最小化されているというふうにJ-LISからは聞いております。
 しかし、これは住民の方々にも、地方自治体によっては予約制のシステムであったり、窓口が混雑しないように少し時期をずらして通知カードが出来上がりましたよという通知をしていただいたり、様々な工夫をしていただいている中で、御迷惑がかかっている案件でございますので、J-LISを始め関係事業者などにおいても、こうしたシステムの不具合が発生しないように、まずは緊張感を持って適切な運用を行っていただくということが必要でございます。
 私自身も、昨年12月11日に、J-LISの理事長に対しまして、適切な事務処理の実施ということを要請しましたし、また、今年の1月に入りましても、事務方からですけれども、情報処理システムの再点検について要請をしています。もう既に、累次に渡って要請をしているのですけれども、カードの発行に支障が出ているというのは明らかな事実でございますので、一刻も早い原因究明と、今、暫定的に講じている措置についても、しっかりと実行していただくということが、まず重要かと思っております。

<夕張市の再生方策に関する検討委員会報告書>

問: 北海道新聞の幸坂と言います。よろしくお願いします。御承知のように、北海道夕張市で、財政再生計画の見直しについて、今、議論がされています。本日、市の有識者委員会が見直しの報告書を提出することになっているのですけれども、大臣に2点お伺いします。
 まず1点目は、赤字の解消は進んでいるけれども、人口減少も進んでいるという夕張の現状をどう御覧になっているかということです。
 そして、もう1点が、今後、国を交えた具体的な見直しの協議が行われると思うのですけれども、そもそも現行の財政健全化法の枠組で、運用改善といった、これから改善していけることがまだまだあるという御認識でしょうか。お願いします。

答: 夕張市の鈴木市長とは、就任以来、何度かお会いしていますし、私自身も夕張市に出向かせていただいて、市民の方とも、そして市長とも意見交換をしてまいりました。
 まず、赤字解消に向けて相当な御努力をいただいているということは確かでございます。「夕張市の再生方策に関する検討委員会」を設置して議論をされ、報告書も取りまとめられて、まもなく手交がなされると聞いておりますけれども、こういった状況にあるということ。そして、これまでも、例えば、市役所内でも職員の方々の数を減らしたり、給料を抑制されたり、できることは何でもやろうということで、一生懸命に再生に向けて取り組んでこられたことも承知をしています。
 せっかく検討委員会を設置して、再生に向けて更なる方策を取りまとめられたのですから、私自身も、今、日程調整中ですけれども、是非市長と直接お会いして、報告書もいただいて、そして、御意見をよくお伺いした上で、3者協議の場において、市や北海道と話し合いをしていきたいと思っております。
 人口減少という状況が続いているというお話なのですけれども、私が視察したり、お話を聞いた範囲でございますけれども、若い方々の市外への流出が進んでいること、必要な子育て環境の整備ができていないということ、それから、市の職員の方々についても、財政事情が非常に厳しいということで、あまりにも待遇が厳しいものであって、優秀な人材が次々に辞めていかれるということで、再生をしようと思っても、中心になって頑張っていかれる方々が不足してきていること、こういった実情もお伺いしました。
 今年から、子育て環境の整備に向けて総務省も一生懸命応援をしますし、また、市の職員の待遇改善についても、これは去年、財政再生計画について見直しの同意をしたということでございます。
 あとは、働く場所をしっかりと確保していく、作っていくということが大事だと思いますので、これも総務省では「ローカル10,000プロジェクト」がございます。また、再生可能エネルギーに関しても事業を持っておりますので、総務省としてできうる限りの応援をしてまいりたいと思っております。

<放送法に関する大臣発言(1)>

問: TBSの金平でございます。忠犬のマイキーくん、かわいいですね。私の質問は忠犬に関することではないのですが、大臣が2月8日に、いわゆるテレビ局の電波停止に関する発言をされたことに関して、この間、国内外のメディアあるいは憲法学者、メディア法学者の間から、放送法の精神あるいは表現の自由を謳った憲法に反しているのではないかと。そういう批判の声も出ておられることは御存じだと思いますが、改めて伺いますが、現時点で大臣があの発言について撤回あるいは修正・補足をするようなお考えはありますでしょうか。

答: 発言の撤回に関しては、ございません。
 実は、「報道特集」さんから、ビデオ取材のお申し出をいただいておりました。日程調整できて、もし生出演で呼んでいただけたら、とてもそれは私にとって嬉しいことなのですが、ビデオ取材ということでございまして、今日もまたこれから予算委員会もございます中で、もしもお願いできるのでしたら、今から御質問にお答えして申し上げることを、できるだけノーカットで使っていただけたら大変嬉しく存じます。
 それで、この際申し上げたいのですけれども、まず、「私自身が電波を止める」という発言をしたことは、ございません。これは、電波停止に何度も言及とか、電波停止をすると言ったというような報道があって、大変残念に思っておりますけれども、そういう事実はございません。
 それから、例えば、「放送事業者による政権批判というものに対して、大臣としてコメントをしたこと」もございませんので、このあたりについては御理解をいただきたいと思います。
 御承知のとおり、平成22年に菅内閣でございましたけれども、民主党政権の下で、放送法は抜本的な大改正がございました。その後、発行されました放送法の逐条解説の最新版でございますが、平成24年発行のものでございます。私は行政の継続性というものを大切にする観点から、国会で答弁する事柄については、この逐条解説の内容に沿って答弁をさせていただいております。
 特に憲法違反だといった御指摘があったようなのですけれども、既にこれも国会で答弁をさせていただいたことですが、日本国憲法と放送法と電波法の関係について申し上げます。
 日本国憲法第21条は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と規定しています。
 一方で、憲法第12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。又、国民はこれを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と規定しています。
 放送法も、平成22年に菅内閣で本当に大きな改正があったのですけれども、当時、内閣法制局の厳しい審査も受けており、私は憲法の規定に沿った内容となっていると考えております。
 放送法の第1条も、憲法第21条及び第12条の規定に沿いまして、「放送法の目的」として、「次に掲げる原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」としています。その上で、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」と規定しています。
 すなわち、放送事業者が自らの責任において編集される放送番組は、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくということでございます。
 その上で、放送法の第4条でございますが、「放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。」として、「公安及び善良な風俗を害しないこと」、「政治的に公平であること」、「報道は事実をまげないですること」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と規定しています。
 そして、この放送法第4条の違反については、「ソフト事業者」につきましては、放送法第174条に「総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、3月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。」と規定しています。  この規定でございますが、これは新しい規定で、平成22年、民主党政権による放送法大改正で追加されたものでございます。対象となり得る事業者数は820者と承知しております。
 そして、ソフトとハードの両方を備える「特定地上基幹放送事業者」、つまり地上波のテレビ、ラジオ、コミュニティFMの放送法違反においては、電波法第76条第1項において「総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、3箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」と規定されています。
 この電波法の規定は、昭和25年の法制定時からある規定でございまして、適用され得る対象事業者数は487者とされています。
 ただし、放送法第174条や電波法第76条の運用については、これも今年の2月9日に予算委員会で答弁させていただいていますとおり、「法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであること」に加え、「その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり」、かつ「同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ、事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは、法律を遵守した放送が確保されないと認められる」といった極めて限定的な状況のみに行うこととするなど、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであると、従来から取り扱ってきています。その運用基準といわれるものについても、放送法の最新版の逐条解説に載っております。
 この放送法第4条違反に係る放送法第174条及び電波法第76条の運用ですけれども、今申し上げましたような厳格な要件の下行われるとされていることから、憲法上問題はないと思っております。
 これまで、放送法第4条違反として、電波法第76条第1項を適用した例はなく、いずれにしましても、まずは放送事業者におかれまして、自律的に放送法を遵守していただくということが基本でございます。

問: ありがとうございます。そうすると確認ですが、私がお聞きしたのは現時点で発言を撤回あるいは修正するお考えはないかということですが、ないということですか。

答: 発言で撤回すべき部分の発言を具体的におっしゃっていただければと思います。

問: 今、行政の継続性ということをおっしゃっていたので、国会で今までおっしゃっていたことを今もおっしゃっていたので、放送法の成立に当たりまして、総務省の、あるいは郵政省の前身である旧逓信省ですね、逓信省が法律を作る時に、放送法質疑応答録案という、1948年のものですが、ここに大変、放送法の精神について語った部分が非常に明確に書かれているので、ちょっとだけ読み上げます。「放送番組に政府が干渉すると放送が政府の御用機関になり、戦争中のような恐るべき結果を生ずる。健全な民主主義の発展のためにはどうしても放送番組を自由にしなければならない等々」と書かれておるのですが、こういう放送法の精神にも、今おっしゃっていた大臣の答弁というのは合致していると考えてよろしいのでしょうか。

答: 放送法は、平成22年に本当に抜本的な非常に大きな改正がございました。放送法の逐条解説というものは、私たちが国会に対して、国民の代表の皆様が集まる国権の最高機関に対して、答弁をする時に大いに参考にするものでございます。
 そして、先ほど申し上げましたように、放送業務停止命令の第174条というものも先般の改正までは入っていなかったものでございます。
 内閣は、日本国憲法第5章において、「行政権の主体」としての地位を認められ、そして、議院内閣制の国でございます。そういった中で、内閣は、憲法第73条に従いまして、「法律の誠実な執行」ということも業務の中に入ってございます。
 もちろん放送法第174条ですとか、電波法第76条の運用については、これは本当に極端な場合において、しかも相当慎重に行わなければならないということは、私自身も国会で答弁をさせていただいております。
 冒頭、御指摘いただきました2月8日の衆議院予算委員会での発言ですけれども、あれは民主党の奥野総一郎先生から、「放送法の第174条の業務停止や電波法第76条については、こうした第4条の違反については使わないということで、今、もう一度明確に御発言いただきたいのですが」という御質問をいただきましたものですから、どんなに放送事業者が極端なことをされても、そしてそれを繰り返されても、全くそれに対して何の対応もしないということを、ここでお約束するわけにはいきませんと、私自身の時には、そういうことはないだろうとしても、将来の大臣にわたってまで、一切、実際に法律にある条文の適用があり得ないということについてまで、私が約束をするというのは筋の違う話だろうと考えましたので、「お約束するわけにはまいりません」と答えたものでございます。
 すぐに何か、この第4条の番組準則に違反されたかと思われるようなケースがあったとしても、すぐさま放送法第174条や電波法第76条を適用するということがないことは、皆さんも御承知でしょう。先ほど申し上げましたような、非常に厳しい、また限定的な場合において検討される可能性のあることでございますので。そして、また、今まで適用された事例もございませんので、そういう意味では2月8日の答弁、9日の答弁、15日の答弁と、順次答弁をしてまいりましたけれども、私が申し上げました答弁は、あくまでも放送法逐条解説に基づくものであり、22年の法改正後のものでもあり、行政の継続性ということを考えまして、前政権の答弁を忠実に国会で申し上げた、こういったことであると存じます。

問: 今、法律の誠実な執行ということについて申し上げられた、答弁されておられたので、1点だけまた追加ですが、憲法学者が先に申した、いろいろな会見の場でこういうことを言っています。著名な憲法学者の樋口陽一さんですが、「何人も自分自身が関わっている事柄について、裁判官になってはならない。これが自由民主主義社会の基本原則」。これは政治的公平性について、政治家自身が判断することのいろいろな問題点について指摘しているというふうに思うのですが、この意見についての大臣の御見解を。

答: 放送法第174条にいたしましても、電波法第76条にいたしましても、「総務大臣は」というのが主語になっております。
 御承知のとおり、第174条は新たに平成22年に追加された条文でございますけれども、この放送業務停止命令も「総務大臣は」というのが主語になっております。
 また、電波法は昭和25年の法律でありますが、こちらも「総務大臣は」というのが主語になっております。
 しかし、両方とも適用された事例はなく、そして行政執行の現場ということを考えますと、現在の総務省の体制の中で何か政権を批判したからとか、そういったことで処分・命令というものが行われるというような不公平なことはないと考えておりますし、私自身も、今まで放送事業者が政権批判をしたというようなことに対して、総務大臣としてコメントを申し上げたことはございません。
 行政というものは、継続していくものです。私自身が総務大臣でなくなったら別の大臣が来られますが、憲法に従って、内閣というのが行政執行の主体である、行政権の主体であるという状況、また、議院内閣制ということを考えますと、多くの法律で「大臣は」というのが主語になっているというのは、それぞれの大臣が所管する業務について責任を持って判断をしていくといった趣旨だと考えております。
 しかし、そこに自分が所属する政党が有利か不利かといった、恣意的な判断は絶対に入ってはいけない。これは、私自身が今は国会議員でもありますけれども、総務省という役所の業務に責任を持たなければいけない行政府側の一員として、私自身が矜持としていることでございます。

問: フリーランス記者の上出です。実は同じ質問をさせていただこうと思いましたら大御所の方が隣におられたので、私はちょっと、補足でお伺いします。
 金平さんたちの、29日の後に、3月2日、金平さんがおっしゃったように、樋口陽一さんなんかが抗議の見解を発表しています。その中で、これをちょっとお聞きしたいのですけれども、放送法第4条、おっしゃったとおりで、いろんなことを言っているのですが、実際に樋口さんが言っておられるのは、いろんな、多様な立場を紹介した上で、特定の立場を放送事業者が支持することは当然あり得ると。これを否定することは憲法21条違反である以前に、放送法の解釈として誤りを犯していると言っております。
 これは、大臣がこれまで、番組全体を見てという判断から、個別の番組にも踏み込んでということが強調されているのだというふうに皆さん捉えて、実際に金平さんの記者会見の時にもいろいろ披露されましたけど、放送現場で現実に萎縮が起きていると。いわゆる、そこで、高市大臣の発言は恫喝ではないのかという、そういうことが起きていると思うのですね。いま言った、樋口陽一さんなどが言った見解、特定の立場を支持したりすることは当然ある。これは、そのとおりだと思われますでしょうか。おかしいと思われますでしょうか。

答: 私も「報道特集」をたびたび拝見しております。大変参考にさせていただいております。1つの時間の枠の中で、今日はこのテーマを特集するよと、特に特集をされるような番組の場合に、限られた時間の中で色々な意見がある場合に全ての意見を紹介するというのは、現実的に難しいと思います。
 1つの問題意識に従って、それを掘り下げていかれるという場合、これは当然にあると思います。ですから、これまでも「放送番組全体として」ということで、特に放送法第4条、様々な規定はあります。公安や秩序といったものもあれば、正確な報道というものもあり、政治的な公平性、それから意見が対立している問題の場合に、様々な意見をできるだけ紹介するといった趣旨でもあるのだろうと思いますが、1つの本当に限られた時間の中で何もかも紹介する、これでは何を報道したいのか分からなくなってしまいますから、そういう意味で、「番組全体として判断する」という、これまでの解釈を変更したものではございません。
 ただ、番組全体を見るとしても、やはり1つ1つの番組の集合体でございますから、1つの番組を見るときに第4条との兼ね合いにおいて、どういう視点で考えたらいいのかということで、「政府統一見解」で示させていただいた事例というのは、実に極端な場合を一般論として挙げさせていただきました。
 しかしながら、放送事業者の皆様でしたらもう十分御承知のとおり、あそこで挙げたような極端な事例、それを放送してしまうと、視聴者であったり、また、スポンサーの方々であったり、色々な方がお困りになってしまうということだと思います。
 ですから、放送法の精神というのは、放送事業者がまずは自ら放送法を遵守していただくと。で、番組の編集を自律的に行っていただくことになるのだろうと思っております。
 私自身が、冒頭にも申し上げましたが、「電波を停止する」と言ったことはございません。将来に渡ってこれが決してないのかとか、現行法にある条文が全く無効なのか、こういう趣旨の御質問だと考えましたので、それを未来永劫、放送法第174条も、電波法第76条も、未来永劫適用されることもないし、無効ですというようなことを、法治国家である日本において、現行法に従って行政を執行しなければならない総務大臣が申し上げることのほうが、問題が大きいというのが発言の趣旨でございます。
 「萎縮につながるのか」というお話でございましたけれども、私自身も「放送事業者の方々が、何らかの主義・主張を持って放送番組を編集される」ということについては、何らコメントをしておりません。
 今でも、放送事業者の方々は、矜持を持って報道すべきことを報道されていると思いますし、この間から相次いで、各放送事業者といっても、1,307者のうちの東京のキー局の社長様などが記者会見をされておられます。これも新聞報道などで知りうる範囲でございますけれども、それぞれ自主自律的に放送番組を編集していかれるという旨をお話になっていますので、これは萎縮につながるものではないと思っております。

<「マイキーくん」によるマイナンバーカードのメリットに係る周知・広報(2)>

問: 共同通信の藤元です。冒頭の「マイキーくん」の率直なパッと見た感想をいただきたいのですが。

答: 広報に使える予算も乏しいのですが、「マイナちゃん」だけじゃなくて、「マイキーくん」もあるとマイナンバーカードの2つの機能を皆さんに知っていただけると思って、「マイキーくんはないのかな」というようなことを、私自身申し上げてまいりました。
 「マイナちゃん」は、いちいち内閣府に借りに行かなきゃいけなくて、しかも使用基準が非常に厳しく、「こんなふうに使ってください」とか、マイナちゃんは女の子の設定なので、「女の子らしい動きをしてください」というようなことでございましたが、「マイキーくん」の方は総務省の職員が考案したキャラクターであり、やっとこうやってできましたので、大いに活躍をしてもらいたいなと思っております。
 「マイキーくん」の目に「J」「P」と入っておりまして、あとは「鍵(キー)」を持っています。JPと、「鍵(キー)」のところで「KI」と書いてあります。これはまたあとでゆっくり「マイキーくん」を眺めていただきたいのですけれども、これが「ジャパニーズ・パブリック・キー・インフラストラクチャー」ということで、「公的個人認証」の英訳の文字でございます。
 とにかく地域経済を活性化するために一番「マイキーくん」に活躍していただきたいので、皆様も御愛顧をお願いします。

問: 外見に関してはどうでしょうか。

答: ちょっと頭がでかすぎたかなと思いますが、かわいいと思います。私は。

<放送法に関する大臣発言(2)>

問: 「報道特集」のディレクターの齋藤と申します。手短に言います。国会答弁で高市大臣がずっと申し上げていることなので、でも、僕もずっと国会答弁を聞いてきまして、どうしても分からないことが1つ。放送法のことですね、法的規範、法規範があるのか、倫理規範があるのかと。これは行政の継続性というふうにおっしゃって、民主党政権時代からというふうにおっしゃっているのですけど、僕も放送法をずっと読み上げて、第1条の目的とか放送の不偏不党、保障するのは公権力。主語は、公権力が保障してくれるということを踏まえると、やはり義務付けではないというふうに捉えてもいいのかなと思っているのですけれども、そういったところも踏まえて、なぜこれが、放送法というのが法的拘束力を持つのかというところを、ちょっと明確に教えていただけたらと思います。

問: 聞き方がちょっと。放送法4条は倫理規定ですか。それとも、そうではない。つまり、法的拘束力を伴う罰則規定であるというふうに思われているのか。

答: 第4条は、「番組準則」を書いたものですから、第4条そのものが罰則規定ではございません。
 第4条の性質として、「法規範性を有する」ということについては、平成22年11月26日、菅内閣の下で放送法の大改正を行った時に、参議院総務委員会で平岡総務副大臣が答弁をされておりますので、これは政権が代わっても、その後の放送法改正というのはとても軽微なものでございまして、抜本改正は22年でございますので、継続性というのは大事にしなければならないということで、平岡副大臣が、この番組準則については「我々としては法規範性を有するものであるというふうに、従来から考えているところであります。したがいまして、放送事業者が番組準則に違反した場合には、総務大臣は業務停止命令、今回の新放送法の第174条または電波法第76条に基づく運用停止命令を行うことができるというふうに考えているところでありますけれども」ということで、先ほど申し上げました運用は慎重でなければならないということを説明されておりますので、あくまでもこれは法規範性があるという解釈のもとで、現在の最新法は成り立ってきていると存じます。
 この法規範性があるということ、そして、及び大変慎重な運用をしなければいけないものであるということ、これまで放送法第174条及び電波法第76条が適用されたケースはないということなども合わせて、それぞれ私自身も委員会で答弁をいたしております。

問: よろしいでしょうか。ありがとうございました。

答: どうもお疲れ様でございました。


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