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2016年12月19日 予算折衝・地方財政対策関係記者会見

更新日:

〔冒頭発言〕

【29年度地方財政に係る大臣折衝状況】
 皆様、お疲れ様でございます。
 先ほど、財務大臣と地方財政対策について折衝し、合意いたしました。その内容についてお伝えいたします。
 平成29年度の地方財政対策は、平成23年度地方財政対策以来、地方交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制に活用していました前年度からの繰越金がないため、近年にない大変厳しい状況にございました。
 このような中で、概算要求時点で見込まれた地方交付税の減と臨時財政対策債の増を可能な限り抑制するとともに、一般財源総額を確保することを使命として取り組みました。

【交付税総額の確保と臨財債の抑制】
 交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制につきましては、特会剰余金や機構準備金の活用、特会借入金の償還方法の見直しなど、可能な手段を最大限活用することによりまして、地方交付税について16.3兆円程度を確保しつつ、臨時財政対策債の発行額も0.3兆円の増にとどめることができました。

【一般財源総額の確保】
 一億総活躍社会の実現や地方創生、防災・減災対策などの重要課題に取り組みながら、地方団体が安定的な財政運営を行えるよう、平成29年度の一般財源総額について、子ども・子育て支援などの社会保障の充実分の確保も含め、前年度を0.4兆円上回る62.1兆円程度確保することとしました。

【公共施設等の適正管理】
 公共施設等の集約化・複合化、老朽化対策等を推進し、その適正配置を図るため、現行の「公共施設等最適化事業費」について、「長寿命化対策」や「コンパクトシティの推進」、「熊本地震の被害状況を踏まえた庁舎機能の確保」を追加しまして、「公共施設等適正管理推進事業費」として新たに計上することとしました。

【一億総活躍社会の実現】
 一億総活躍社会の実現に向けましては、保育士・介護人材等の処遇改善に必要な経費を、地方財政計画の歳出に計上することとしました。
 その財源につきましては、アベノミクスの成果等により雇用情勢が安定的に推移していることなどを踏まえ、雇用等対策費を盛り込んでいます「歳出特別枠」を減額して確保することとしました。

【まち・ひと・しごと創生事業費】
 「まち・ひと・しごと創生事業費」につきましては、地方団体が自主性・主体性を最大限発揮して地方創生に取り組むことができるよう、平成29年度においても、引き続き、1兆円計上することとしました。

【緊急防災・減災事業費】
 「緊急防災・減災事業費」につきましては、対象事業を拡充した上で、東日本大震災に係る復興・創生期間に合わせ、平成32年度までの4年間、延長することとしました。

【平時モードへの切替え】
 危機対応モードから平時モードへの切替えを進めるため、「歳出特別枠」につきましては、今申し上げた公共施設等の適正管理や一億総活躍社会の実現のための歳出を0.25兆円程度確保した上で、同額を「歳出特別枠」から減額することとしました。

 以上のように、平成29年度の地方財政は、地方交付税総額の確保と臨時財政対策債の増の抑制に可能な限り努めるとともに、地方が自由に使える一般財源総額をしっかりと確保し、地方団体が地方の重要課題に取り組むことができる内容となったと存じます。

【国保への財政支援拡充】
 このほか、先日の全国知事会議で御指摘のありました「国民健康保険への財政支援拡充」につきましては、関係省に対し、地方の御意見を丁寧に伺うよう、積極的に働きかけを行ってきたところでございますが、新制度が円滑に運営できるよう、地方の意見を十分踏まえた形で決着しました。

【予算重要項目】
 あわせて、地方財政対策以外の予算重要項目についても折衝を行いました。
 IoTの普及や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えまして、サイバーセキュリティの確保は必須でございます。
 それを担うセキュリティ人材の育成は、早急に取り組む必要がございます。
 このため、情報通信研究機構に「ナショナルサイバートレーニングセンター」を組織し、「中央省庁、自治体などを対象とした実践的サイバー防御演習の強化」、「東京大会の適切な運営に向けた演習の実施」、「若手セキュリティエンジニアの育成」に取り組むために、「ナショナルサイバートレーニングセンターの構築」事業について15億円を確保し、その実現への大きな道筋をしっかり付けることができました。
 このことによりまして、実践的サイバー防御演習の人数を3,000人に倍増することが可能になります。 
 なお、現時点におきましては、予算の編成作業にあわせて計数整理中でございますので、詳細については、22日に予定されている政府予算案の閣議決定後に、事務方から説明させることにいたします。
 私からは、以上でございます。


〔質疑応答〕

<平成29年度の地方財政>

問: 幹事社の共同通信から2問、お聞きいたします。まず、最初に1問お伺いいたします。自治体に交付される地方交付税の総額が、前年度の総額を下回ることになりましたけれども、地方の理解は得られるとお考えでしょうか。

答: 先ほど申し上げましたように、平成29年度の地方財政対策は、前年度からの繰越金が見込めなかったために、概算要求時点から、交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制が最大の課題になる、と考えておりました。
 さらに、平成28年度3次補正予算案において国税が減額補正される見込みでございます。これに伴う地方交付税法定率分の減の精算が必要となることもあり、状況がより厳しくなる中で、交付税総額の確保に向けて、ありとあらゆる方策を検討して、可能な限りの対応を行いました。
 具体的には、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金につきまして、当初予定していた0.1兆円に加えて、0.3兆円を国庫に帰属させ、「まち・ひと・しごと創生事業費」を中心とした財源として活用します。
 歴史的超低金利を踏まえまして、交付税特別会計に計上している利払い費の剰余であります「特会剰余金」について0.34兆円を活用します。
 特会借入金の元金について、当初0.5兆円を償還する予定でございましたが、厳しい地方財政の状況を踏まえ、償還額を前年度と同額の0.4兆円に見直しすることとしました。
 地方交付税の原資を最大限確保することによりまして、地方交付税について16.3兆円程度を確保し、臨時財政対策債の発行額も0.3兆円の増にとどめることができたところでございます。
 地方団体の皆様にも、平成29年度の地方財政対策については、かなり厳しい状況であることを情報共有していただいておりました。できる限りの対応をしたつもりでございますので、御理解を賜りたいと存じます。

問: 続いて、2問目をお聞きいたします。先ほどの質問とも少し重なるのですが、臨時財政対策債の増発など、借入金への依存が高まりましたけれども、今後地方財政の健全化にどのように取り組むお考えでしょうか。

答: 地方団体の皆様から要望が非常に強かった地方交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制について、できる限り地方の御期待に応えられるように交付税特会借入金の償還計画の見直しも含めて、ありとあらゆる方策を検討して、可能な限りの対応を行ったものでございます。
 地方財政健全化の観点から申し上げますと、本来的には臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要でございます。これは、私自身も国会答弁で何度も申し上げてまいりました。
 今年の概算要求におきましても、法定率の見直しを事項要求しております。
 しかし、国・地方共に非常に状況が厳しい中で、今回のような対応になりました。
 今後、歳入面では、アベノミクスの成果を全国各地に行き渡らせて、地方税収の増を図るとともに、歳出面では国の取組と基調を合わせて、メリハリをつけて歳出構造を見直すことで、財務体質の強化にしっかり努めてまいりたいと考えております。

問: 自治日報という専門誌の内川と申します。地方財政対策に関連して、地方交付税の位置づけと今後の在り方について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 地方交付税の位置付けについては、今回の地方財政対策の概算要求時点で交付税が0.7兆円の減、臨財債が0.1兆円の増という厳しい見通しだったわけなのですが、大臣の折衝の結果、交付税の減と臨財債の増、共に抑制されて、かつ政府の財政健全化計画の一般財源水準を確保するという結果になったわけですが、その前には、財務省というか、財政制度等審議会といいますか、いろんな意見があったところだと思います。
 ただ、地方交付税の位置付けについては、かつて当時の総理が国会で地方の固有財源であるという答弁をされていて、先に地方財政審議会の方から出された意見書の方でも、地方の固有財源で、その性格を明確にするためには、地方法人税のように国税の法定率分も交付税特別会計に直入すべきだという提言も、地方財政審議会の方から意見がありました。
 大臣は地方交付税について、地方固有財源だという御認識をお持ちかどうかということですね。国税4税の法定率分を特別会計に直接繰り入れるなどについて、どういうお考えをお持ちかということと、その実現可能性について、財政当局は必ずしも賛成というわけではないかもしれませんが、その実現可能性についてのお考えをお伺いできればと思います。

答: 地方交付税は、地方の固有財源でございます。
 そして、様々な御要望を各地域からいただきますけれども、他の地域の御理解をいただけるかどうか、適切なご要望であるかといったことも考えながら、私たちは対応をしてまいりました。
 制度の根幹そのものに関わる御質問でございますけれども、先ほど私が申し上げましたとおり、所得税、法人税、酒税、消費税などにおいて、交付税の法定率があるわけでございますけれども、やはり法定率等の見直しは、私は一番の正道として考えております。
 大臣に就任しました翌年には、本当に長期間の、私たちの悲願でありました法定率の見直しが実現いたしましたが、今回はなかなか難しい状況にございました。
 しかしながら、今後も諦めずにしっかりと対応を続けてまいりたいと思っております。

問: ほかはよろしいでしょうか。では、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

答: お疲れ様でございました。


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