高市早苗政調会長 記者会見
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【冒頭発言】
本日、政調審議会を開催しましたので、その概要をご報告申し上げます。
本日は案件が4本で閣法が2本、国会承認の件が2件でございます。法案名はお手元の資料をご参照下さい。これら全てを了承致しました。
それから皆様方にお願いと言いますか、少し説明をしたいのですが、今日の朝刊で日銀法改正自民党案という記事がございましたけれども、政調会としては、具体的な法案の検討は現在のところ行っておりません。おそらく、昨年の政権公約、J-ファイルに「日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みをつくり」と書かせていただいておりますので、党内でいろいろな議員が知恵を出している、また、必要があると考えていらっしゃる方々のご意見を参照されたものかもしれません。現在、安倍総理の強いリーダーシップで、適切な方が日銀の総裁、副総裁となられ、日銀法第4条に基づく政府と日銀の連携というものは、しっかりと行われている状態だと考えております。今後、それでも結果がでてこないといった時には、法律の中でより強い表現をするなどの考え方は有り得ると思いますが、私は、現時点では今国会では日銀法を改正することはないのだろうと思っております。
それと少し古い話になりますが、去る3月24日の朝刊で耐震改修の促進法改正案を総務会に上げるのを見送り、遅らせましたことについても記事がございました。総務会長と私のやりとりも含めまして、特に取り下げた理由について正しくご理解をいただいていないのではと思いまして、あえて申し上げます。取り下げました総務会のその前の総務会では審議する法律案の数が多くなっておりました。予算関連法案、日切れ法案と続いておりましたので、審議案件が十数件という事態になり、総務の先生から法案の数が多い、政調でしっかりと審議されていないのではないかというご指摘がありました。また、総務会長からも少し本数が多いので、制限をするというのは可能でしょうかと、また、しっかり審議をされていないという話があったら大変残念なので、というお話もございました。これを受けて、政調正副会長・部会長合同会議を開きました。私から、総務会に報告をする時は、各部会長の先生方にはせっかく一生懸命に部会で審議をしていただいておりますので、部会で出た指摘事項や、政府に対しても運用面でこのような点に気を付けてほしいと要請したことなど、部会で出た意見も法案内容に加えて報告していただくようにお願いしました。現在は総務会で非常に分かりやすくご報告をしていただいているところでございます。
耐震改修の促進法改正案につきましては、被災地でも望んでいる方が多いし、やはり耐震改修というものはしっかりなされなければならないという問題意識を私も強くもっておりましたが、政審を通りました時点で、耐震改修の対象となる施設を経営されていらっしゃる団体の中で一部懸念の声がありまして、負担も大きくなることでございますので、総務の先生の中にも、この法律案は通せないのではないかといった懸念を持っておられるという事情もありました。国交部会長がその点もよく配慮されながら国交省に運用面での申し入れをなさって下さっていました。せっかく苦労していただいた法律案でございますので、総務会で、皆様に懸念をもたれない説明ぶりで何とか一回で通していただきたいと考えましたので、国交部会長には、もうひと汗かいてほしいということで、時間をかけていただきました。その件もここにいらっしゃる皆様にはご説明をしたかと思います。国交省の住宅局長にも数日間、約4日間党内手続きが遅れることになるのですが、それで行政執行上の問題はでませんねということを確認致しまして、国交省でも皆様が安心する形の対応について分かりやすくまとめてほしいということを申し上げました。それで4日間の遅れがでましたけれども、決して感情的な対立ですとか、そういったことではありませんし、総務会長から厳しいお言葉をいただいたことが原因で延ばしたといったようなことでもございませんので、この点は正確にご理解をいただきたいと思っております。
毎日、案件が多い中で、皆様方が疑問に感じていらっしゃることについて、ぶら下がりなどの折に、私が時間に追われていて、丁寧にお答えができていないかもしれませんが、特に法律案については党の政調の方針が固まったとか、部会でこういう議論がされているというようなことについては、正確に報道をしていただきたいものですから、どうしても不明な点がありましたら、政調会の各担当者に確認をしてお伝えをいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
【質疑応答】
Q:今日の政審と直接関係ないかもしれませんが、前の政審で電力システム改革について政調幹部に一任となりましたが、明日の総務会で報告出来るようにしたいとおっしゃっていましたが、今は検討状況はどのようになっていますでしょうか。
A:明日の総務会にご報告ができる状況になっております。検討状況ですが、今ちょうど1時半から資源エネルギー調査会役員会をもう一度開いていただいております。政審と致しましては、政調会長、政調会長代理に一任をいただきましたので、皆さんと協議をし、会えなかった方には電話でご相談を申し上げ、昨日の夜までに全員の考えが一致をしました。政府から出てきた電力システムに関する改革方針案については、すでに修正を重ねていただいております。資源エネルギー戦略調査会で出たご指摘を受けながら十分に修文をされていると思いますので、最終的に出てきました案通りに私たちは了承したいと考えております。
ただ、政審の議論の中でも平場でも多くの先生方から出ましたご意見は、何と言っても、安定供給がこれで確実に担保できるのかどうかといった点でございました。特に、この方針案は送電会社に安定供給の責任を負わせるものでございます。他方、必要な量が発電されない場合、例えば資源の高騰ですとか海外で大変な危機が発生してしまったということで、発電をして下さる会社が安定供給できない事態もありうる。そして、原子力発電所の再稼働についてもいまだ不透明な状況でございますので、その中で発電会社に発電をしっかりしていただくための責任を国もしっかり負うべきではないか、国民の皆様に対しても今回の電力システム改革の意義をしっかりとお伝えするべきではないか、といった指摘もございました。それらの点について資源エネルギー戦略調査会の顧問会議で見解をまとめてくださいましたので、これを政調の意見と致しまして政府に申し入れを行います。決議と致しましての申し入れでございますので、自民党としては、これらの点にしっかり政府が責任を持って進めていただくということをもって了とする。今はこう考えております。現在、資源エネルギー戦略調査会でこの案文につきましてもう一度チェックをしていただいております。それを受けて、明日、この決議文を付けて総務会にお送りしたいと考えております。
Q:決議は調査会としての決議になるのでしょうか。政調会としての決議になるのでしょうか。
A:政調会及び調査会、連名の決議となります。
Q:そうなりますと、部会の方で一度、政府原案を修正したものを政調審議会として了承したということですか。
A:そうです。資源エネルギー戦略調査会長、部会長、小委員会の船田委員長も真剣に議論を進めていただき、平場で先生方から出た意見も十分にぶつけていただいて、政府も修正の作業をして下さいました。私が信頼を申し上げ、その能力を買ってそれぞれの会の長に就任をお願いした先生方が、ご努力をいただきました。細かく読みますと、懸念の点についてもそれをクリアできる表現も多々ありますので、これで十分良いではないかと判断を致しました。
Q:一票の格差の件でお伺いをしたいのですが、昨日までに高裁16件審理がありまして、14件が違憲判決、うち2件が無効という厳しい内容となっております。これに対するご見解をお伺いしたかったのと今日の夕方に0増5減について区割り審の答申が出ますけれども、その扱いについて民主党からは高裁から指摘があることを即座に移行するのはいかがなものかというような声も出ていますけれども、ゼロ増五減で十分かという点について政調会長のご見解をお願いします。
A:まずは0増5減を急ぐべきだと思っております。昨年、国会で成立をした法律に基づいて「区割り審」でご尽力をいただいて、それも相当作業を急いでいただいたと思います。これで区割り法案を速やかに提出し、そして成立をさせる、これが第一歩だと考えております。
選挙制度改革全体として、これで十分かどうかと言われましたら十分ではないと思っております。まずは一票の格差の是正ということで違憲状態を解消する作業、そして定数を減らしていきましょうということで、それは5減といったレベルのことではないと考えております。すでに自民党は案をお示し致しておりますので、各党と協議をしながら、その作業も進めていかなければなりません。
選挙制度というのはベストのものがどれかと言われたら、非常に難しいです。各国いろいろな制度があって、私も中選挙区制度の時に初当選をした者でございます。当時の中選挙区制と小選挙区制を比べてみても、メリット・デメリットそれぞれにあるかと思います。本当に民意をしっかりと反映するために多くの方々の声を的確に国政に反映するためにベストな方法、しかもあまりお金のかからない選挙、クリーンな選挙ということでベストな方法というものについては、不断の見直しが必要になってくるのだろうと思っております。
Q:0増5減の法案は昨年の衆院選の直前に民主党も含めて成立させたものですけれども、いま民主党はこれに対して高裁の判決を理由に「これをやるべきじゃない」「もっと抜本改革を進めるべきだ」というふうに方向性を変えていることについてはどのようにお考えですか。
A:引き延ばしになってはいけないと思っております。一歩ずつ改善をしっかりと進めていくことが重要だと思います。
Q:0増5減は成立させた上で、次の大きい抜本改革を考えるにあたって第三者機関を使うということについてはどのようにお考えでしょうか。
A:私達は立法府におりますので、責任を持って改革に取り組むべきだと思っています。今回、自民党からお示しいたしております定数削減案につきましても私たちに得だとか損だとかなどの視点は全く入っておりません。できるだけ今より民意と結果のかい離を小さくする。しかし、定数は減らせるということで考えていただいたものでありますので、まずはこれを自民党の案として皆様にご議論いただくという段階だと思っております。過去に小選挙区制度を初めて導入するにあたっては、外部でも多くの有識者会議というものもができておりましたし、たくさんの御意見を参考にしながら多くの議員が議論をされたものだと思います。いまのシステムを大きく変えるという場合にそういった可能性もあるかもしれませんが、現在は私たちの知恵を結集してお示しできる案がございますし、各党そうだと思いますので、その必要がいますぐに生じているとは考えません。
Q:0増5減はとにかくやらなければいけない。そうなった場合、自民党は5減のうち山梨を除く4県で選挙区を独占しています。今後候補者調整が相当難航するかと思いますが、党の執行部として候補者調整のあり方についてどうあるべきだと考えますか。
A:これは大変難しいし、辛いお仕事だと思います。おそらく幹事長も河村本部長も心を砕きながら御努力されている最中だと拝察いたします。
私自身も過去に小選挙区で出たい人と重なってしまい、一度涙を呑んで比例にまわったことがあります。その時は大変辛ったわけですが、それでも党全体のことを考えると、ここは我慢するしかないと思いました。その時は、公示日まで10日あまりしか残っていないときで、選挙事務所も設置し、ポスターその他配布物の準備も終わっていた時点での調整でしたので大変辛いものがございました。
それぞれの議員の方々に御理解をいただくというのはものすごく辛いし時間もかかることだと思いますけど、党内で皆様が心を砕いて調整されることだと思います。
Q:成年後見人制度について、昨日、選挙制度調査会などの合同会議で色々と議論があったようですが、これからの進め方、公明党が要求しているPTの設置なども含めてどういう風に進められるのでしょうか。
A:昨日、選挙制度調査会、障害者特別委員会、法務部会、厚生労働部会の合同会議という形で開催していただきました。政府が控訴するかしないかわからなかった時点でしたけど、期限が迫っていることから、遅くとも昨日には開いてほしいと各関係者にお願いしておりました。
昨日は第1回の会議ということで、フリートーキングだったのですが、報告を受けましたところでは、出席者から成年被後見人に選挙権を与えないとする規定を外すべきという御意見がある一方で、一律に外すというのはなかなか難しい。かといって、どう分けて判断していくのか、これも相当難しいということで様々なご意見がでたと聞いております。
今後の進め方については、選挙制度調査会、障害者特別委員会、法務部会、厚生労働部会からそれぞれ2名程度のメンバーを出して、8~10人程度の検討チームで議論を進めていくということでございます。この検討チームの議論の状況をみながら再度合同会議を開催することになると思います。自民党としての改善方法のアイデアはそのあたりで固まってくるのではないかと思います。
Q:検討チームのとりまとめ役はどなたになるのでしょうか。
A:逢沢一郎先生にお願いをいたします。
Q:この規定に問題があるという認識は皆様一致されていると思いますが、法改正となった場合、今国会中に対応すべきとお考えでしょうか。
A:仮に法改正で対応となりますと急いだほうがいいかと思います。自民党の中で様々な課題について改正するとしたらどういった方法があるのか、大筋がある程度固まってくるのが見えない限り、他党の方々に責任を持った形でご提示ができませんので、いましばらく議論の時間が必要だと認識しております。