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「米軍潜水鑑とえひめ丸がオアフ沖で衝突」

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 去る2月10日午前8時48分(日本時間)、宇和島水産高校の実習船えひめ丸が、オアフ沖で米軍原潜と衝突、沈没するという悲惨な事故が発生しました。
 
 同日午前11時30分のニュースでは既に詳細な報道がなされていたそうですが、その頃、私は選挙区で公的行事に出席中で、秘書からの報告で事故を知りました。
 その折に反射的に考えたことは3点ありました。
 「可哀相に、どんなに恐ろしい思いをしただろう。今後の救出は時間との戦いになるな。米政府への救出要請は即刻なされたのかな」 
 「よりによって在日米軍幹部による暴言問題等で緊迫している時に、米軍の原潜相手の事故だ。これは重大な外交・安保問題になるぞ」
 「高校生が被害者だから文部科学省所管の問題でもある。文部科学委員長として課題を早急に洗い出そう」

 上京してからもテレビで刻々伝えられる情報に何度も涙しながら、1人残らず救出されることを祈りつつ考えうる限りの政府の対応策を書き出していました。「前例」とすべき対応マニュアルの無さそうな事態ですから、森内閣の対応に漏れ落ちのないように、安倍官房副長官に伝えようと思っていたのです。

 その最中に「官邸から事故の第一報を聞いた後も森総理はゴルフ続行」というニュースが流れたのです。「電話で対応を指示した。私が右往左往してどうするんだ」「ここはプライベートな場所でしょ」といった総理のコメントも紹介されていました。
 
 これまで私は「衆議院本会議で過半数の衆議院議員が記名投票で選出した総理だから、支持率はともかく予算編成や税制改正を通じて内閣が『仕事の結果』を出せるだけの期間を与えたい」という気持ちで総理を応援してきました。
 もちろん、今もその思いは変わっていません。

 しかし、今回の森総理の応答ぶりは「一国のリーダーにはこうあって欲しい」という私の理想からはかけ離れたものでした。
 休暇中の米国大統領が、災害や事故発生時に、休養地からポロシャツ姿で会見を開き、「国民とともに祈る」「国民とともに悲しんでいる」といったコメントを口にした後、ホワイトハウスに戻るべくヘリで飛び立つ様子を思い出します。
 例え海外での出来事であっても「国民の生命を守ること」は国家の責務です。
 邦人が生命の危機にさらされているという一報を受けた後の森総理の第一声は、「国民とともに心配している」「政府として打てる限りの手を打つべく指示をした」といのものであるべきだったと思うのです。
 
 もちろん森総理も心配だったでしょうし、電話を使って必要な初動体制はきちんと取られました。しかし、それを迅速的確に国民に伝えないと、国民は政府への信頼感や安心感を持ち得ません。
 
 「後ろでプレーしている人に迷惑がかかるから、区切りのよいところまでプレーを続けた」「長時間運転手を待たせては可哀相だから帰ってもいいと言った」といった森総理得意の細かい気配りが、今回はかえって腹立たしくてなりませんでした。

 総理、もっともっと国民を愛して命懸けで職責を果たして下さい!総理が国民を思う気持ちがストレートに伝わっていけば、国民は安心して日本の未来を森内閣に託すと思うのです。一日も早く予算を成立させて、森内閣の政策が「見える形」になりますようにと願ってやみません。

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