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地方創生の切り札となる研究に「森のノーベル賞」

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 今年のノーベル賞ウィークも終わりました。毎年、この時期になると日本から誰か受賞されるのではないか、と期待してしまうものです。
 今年は、ノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した北里大学の大村智特別栄誉教授と物理学賞の東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授により、その期待が日本中の喜びに変わりました。
 改めまして、お2人のご受賞をお慶び申し上げます。

 さて、今回ご紹介するのは、それに劣らぬ快挙です。

 「マルクス・ヴァーレンベリ賞」という賞を皆様ご存じでしょうか。初めて聞くという方も多いのではないかと思います。

 「森のノーベル賞」といわれる賞で、森林・木材科学分野、関連生物分野において独創的かつ卓越した研究成果、あるいは実用化に大きく貢献した功績を対象に表彰を行うものです。
 スウェーデンの首都ストックホルムで、スウェーデン国王から授与される由緒ある賞であり、今年は、初めて日本の3人の方々に授与され、先月28日に授賞式が行われました。
 

 受賞されたのは、東京大学の細貝明教授、齋藤継之准教授、そしてフランス国立科学研究センター植物高分子研究所一級研究員の西山義春博士の3名です。

 細貝先生ら3名の先生方が受賞された理由は、「セルロースナノファイバーの効率的な生成法の開発」だそうです。
 恥ずかしながら正確に理解できているわけではありませんが、「セルロースナノファイバー」とは、植物の構造の骨格を成している「セルロース」を極小まで分解して再構成した繊維材料のことです。
 鉄鋼の5分の1の重量でありながら、鉄鋼の5倍の強度を持つ新素材として注目を集めています。

 今回の3名の先生方の成果は、このセルロースナノファイバーの生成に必要なエネルギーを従来から大幅に下げ、産業化への道を切り拓いたものです。
 セルロースナノファイバーは、様々な分野への応用が可能です。軽くて丈夫となれば、日本の防災・減災にも新風を吹き込んでくれるかもしれません。

 実は、昨年の「成長戦略」にも、セルロースナノファイバーについて言及があります。
 「木質バイオマスについて、地域密着型の小規模発電や熱利用との組み合わせ等によるエネルギー利用促進を図るとともに、セルロースナノファイバー(超微細植物結晶繊維)の研究開発等によるマテリアル利用の促進に向けた取組を推進する」という部分です。
 政府でも、この新素材の利用を強力に後押ししていくことになるでしょう。

 日本は森林資源に恵まれた国です。
 エネルギーの自給と並んで、鉄鋼に代わる新素材まで自給できるとなれば、大きな強みとなるでしょう。木くずや端材などを分解して高付加価値の素材が生産できるようになれば、林業の再興にも繋がります。地方創生の切り札にもなるでしょう。

 実用化に向けて大きく前進したセルロースナノファイバーの今後に大いに期待しています。
 

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