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ICTによる水産業の流通革命

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 去る9月29日の閣議後大臣記者会見では、「産業診断フレームワーク」を公表しました。これは、5月に公表した「地域の産業・雇用創造チャート」の続編になります。

 5月の「地域の産業・雇用創造チャート」で特定した各地の「基盤産業」を、具体的にはどのような手法で伸ばしていけばよいのだろうか?
 その答えを見つけるべく、太田直樹・総務大臣補佐官に各地域を廻ってもらい、岡山大学の中村良平教授から経済学の知見をいただきながら、取り纏めたものです。

 従来、国はデータを提供し、地域の政策は各地域で考えてもらうというスタンスでした。
 この根本は変わりませんが、データを政策立案にどのように活かしたらよいのか分からないということも多かったのではないかと思います。

 今回の「産業診断フレームワーク」は、データの活用やヒアリングなどで事実を積み上げながら、どのような視点でデータを読み解けば政策立案に繋がるのかを示したものです。

 「地域の産業・雇用創造チャート」と「産業診断フレームワーク」の両輪で、各地の産業政策が更に効果的なものになることを期待しています。

 さて、今回の「産業診断フレームワーク」の具体的な適用事例として、私は宮崎県の延岡市の例を記者会見で紹介しました(サイトの大臣記者会見欄に掲載)。

 記者会見では語り切れなかった話がありますので、本稿でご紹介します。

 延岡市の「地域の産業・雇用創造チャート」を見ますと、特化している産業として「漁業」がありました。
 延岡市には旭化成の工場もありますので、工業も盛んなのですが、海沿いの町らしく漁業も特化しています。
 延岡市では今、ICTを活かした面白い取組みが始まっています。

 実は、記者会見をした9月29日は、羽田空港に「羽田市場」と呼ばれる民間事業者による新しい市場が立ち上がった日でもありました。
 この「羽田市場」は、空港の真横に立地していることからも分かる通り、空輸してきた鮮魚の流通の為の施設なのです。

 通常、魚は水揚げ後、産地市場や消費地市場での取引を経て、小売店や飲食店に届けられます。
 この間に2日程の時間を要するため、どうしても鮮度が落ちるという問題がありました。

 「羽田市場」は、競りの市場取引などをICTで置き換えて迅速化し、市場取引に要するコストを空輸の費用や漁師さんの取り分に回し、朝に水揚げした魚をその日のうちに東京都内の小売店や飲食店に配送するというビジネスモデルです。

 対象となる漁港は、延岡市を始めとしてまだ全国で数ヶ所ですが、「地方のビジネスが、ICTによって革新的に生産性を上げ、変わっていく」1つの好例だと思います。

 また、漁業は、原油価格の変動などの影響を直に被る産業ですが、ICTの活用により、「需要に応じて漁に出る」という方式に変わっていけば、魚の価格が値崩れを起こすこともなく、収入も安定してきます。

 漁業に携わる方々の収入が上がり、安定化すれば、地方の漁港も活力を取り戻していくのではないでしょうか。
 今後の広がりに注目していきたいと思います。

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