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中国による知的財産権侵害問題改善に向けて

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 先週は、北京に出張でした。中国は深刻な旱魃で、北京でも空気が異常に乾燥していて、喉をひどく痛めて帰国。昨日まで咳が止まりませんでした。

 今回は、知的財産保護官民合同訪中代表団としての出張でした。
産業界代表はパナソニック株式会社の中村邦夫会長、政府代表は私でした。
政府からは、経済産業省・特許庁のみならず、内閣官房知的財産戦略推進事務局、外務省、農林水産省、文化庁の職員も出向き、官民合わせて約60名の参加でした。

 訪中代表団の目的は、中国における模倣品や海賊版などの知的財産権侵害によって日本の産業界が甚大な被害を受けていることから、中国政府に対して、法整備や違反者の取り締まり強化など具体的な改善要求を行うことです。
 代表団の派遣は既に6回目ですので、中国側でも徐々に法整備が為され、日中政府間の協力体制は強化されつつあります。
 昨年6月には、中国政府が「国家知的財産権戦略綱要」を発表し、12月には、全人代で「改正専利法」(日本の特許法に近い法律)が成立したばかりです。
 
 ただ、北京で交渉する中央政府の幹部は理解を深めて法整備にも意欲的になってくれているものの、まだまだ地方での取締り基準がバラバラであったり、警察の人員不足から検挙されていなかったりと、課題は多くあります。

 日本の産業界が受けている被害には幾つかのパターンがあります。

 まず、「模倣品被害」というもので、日本企業が自社ブランドについて、中国でも商標権を取得しているのに、そのブランドを模倣した商品が出回ってしまっているケース。
 「三洋」「松下電業」等の表示で日本企業の名称を冒用したり、全く同じ社名とパッケージのデザインで堂々と模倣品を売っていたり、「TCSHIBA」など「TOSHIBA」と間違いやすい表示で電化製品を売ったり、製品やロゴマークのデザインを模倣して真正品と誤認させたり…と、手口は様々です。
深刻なのは、医薬品や農薬の模倣品。人命にかかわる被害が発生したり、農作物が枯れてしまったりしますから、絶対に許せない犯罪です。

 次に、「冒認出願」。これは、日本企業が自社のブランド名を商標登録する前に、知らない間に中国の第三者に商標権を取られてしまったというものです。
 例えば、「奈良」「岡山」といった日本の地名、「九谷焼」「松坂牛」といった地域ブランド、「ひじき」といった普通名称などが、中国の第三者に出願登録されてしまっており、これを放置すると、多くの地方自治体や生産者に悪影響を及ぼす可能性があります。

 今回のミッションでは、商務部、全人代、国家知識産権局、国家工商行政管理総局を訪問し、幹部と率直な議論を行いましたが、大きな成果が上ったと思います。
 中国政府側は、日本の商標法や不正競争防止法に該当する法律の改正を速やかに進めることを約束し、改正にあたっては日本産業界の被害を防止できる内容とすることを了承しました。
 全国統一的な法執行の確保、再犯・巧妙事案に対する取締り強化、今まで法規制の無かったデザイン模倣行為規制の導入についても、前向きな回答を確保しました。

 1つ1つの交渉時間が長かったので疲れましたが、達成感をもって帰国しましたところ、小泉元総理の発言や中川財務相の変な記者会見など色々なことが起きていて、必死で働いても報われないなあ…と無力感に苛まれてしまいました。しょんぼり。

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