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「総理、首都移転ってホントにやるんですか?」

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 先日、奈良県庁の企画部の方が、「三重畿央新都推進協議会を設立するので、顧問に就任してください」と言ってこられました。
 首都移転の候補地のひとつとなっている三重・畿央地域に新首都を誘致する為に、関西の経済界・行政・政界が一体となって運動をする組織だとのこと。せっかくお声掛けをいただいたのですが、私自身は悩んだ挙げ句にお返事を保留させていただいたのです。

 4年以上前、「国会等移転審議会」設置の為に「国会等の移転に関する法律の一部改正法案」が国会で議論されました。私は当時、この法案に反対しました。
「確かに大規模な新首都建設工事は景気対策にはなるだろうが、もともとはバブルがはじける前に出てきた話だから再検討の余地がある。某大な財政赤字を抱える現在、国民全体の為に、他にやるべきことは沢山ある。全国各地に情報インフラを整備したり、道路整備を進めたり、予算の必要な案件は山ほど有る」
「東京一局集中を是正する為の移転だというが、それなら予算と許認可権を地方に移す改革を先にやるべきだ。そうしないと、新首都も東京と同じ問題を抱えることとなる」
 その頃は、そんなことを考えて採決でも反対に廻りましたが、法案は可決されました。 私が国会議員になる前の平成2年に、国会では「国会等の移転に関する決議」が為されており、引き返せない状況でもありました。
 国会で多数決で決まったことですし、法律に基づいて移転先の選定も始まり、観念した私は、「どうせなら関西へ」と関西選出の議員とともに候補地の幾央地域を応援する議員連盟にも参加しました。

 しかし、今年に入ってから、どうもスッキリしないのです。「政府は本気で首都移転をする気があるのかしら?」と疑問に思えてなりません。
 東京では超豪華な防衛庁新庁舎が完成したばかりです。この他に総合庁舎も建設され、総理官邸も建て替えの予算が計上されています。
 おまけに私達がオフィスとして使っている議員会館も同じ敷地を使っての建て替えが決まり、今年から設計の参考にする為に衆議院の職員が海外出張をして諸外国の議員会館を視察しています。
 首都移転をすると言いながら、某大なお金が東京の国会周辺に投じられているのです。
 一方で、来年1月からスタートする国土交通省の来年度予算概算要求を見ますと、「首都機能移転への対応5億2100万円」というのが計上されています。候補地となっている各地方の行政も誘致の為に運動予算を使っています。

 扇建設大臣が、首都移転に疑問を投げ掛ける発言をして物議をかもしていますが、彼女の感覚はある意味では正しいと思うのです。
 本気で首都移転をするなら、これ以上、国会周辺で無駄な建て替え予算を使うべきではないし、移転対応予算の計上は無駄になります。
 「エエ加減にやるのかやらんのかハッキリせんかったら、捨て金が積もるばっかりや」と我慢できなくなった私は森総理に直訴状を手渡しました。過去の議論はさて置き、総理が白黒ハッキリさせてリーダーシップ発揮してもらわんことにはどうにもならんっと思ったからです。

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