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ネットいじめ②;ネットいじめへの対策

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 先週は、インターネットの特性による「ネットいじめ」の残酷さについて書きました。

 政府、保護者、教育者、地域社会、事業者など、それぞれの主体が如何にして「ネットいじめ」から子供を救う為の取組みを進めたらよいのか、実に難しい課題ですね。

 まず、「ネットいじめ」というものに対する政府の対応ですが、政府がネットいじめを「新しい形のいじめ」と認識して、やっと本格的な取組みを開始したのは、平成18年度からだと言っていいと思います。

 文部科学省は、平成18年度の「生徒指導上の諸問題に関する調査」(平成19年1月19日)において、初めて「いじめの態様」に「パソコンや携帯電話等で嫌なことをされる」という項目を追加しました。
 平成19年2月の「いじめ問題に関する取組み事例集」には、学校現場におけるネットいじめへの対応例を2例掲載しています。
平成19年度には、「情報モラル実践指導キックオフガイド」(平成19年6月)で教員への啓発、「指導主事セミナー」でも情報モラル教育を課題にしています。
 平成20年1月から「学校非公式サイト(学校裏サイト)匿名掲示板に関する調査」を行い、今後は、現状を十分に把握した上での対策作りをするのだろうと思います。
 平成20年2月には「保護者向けリーフレット」と「子ども向けリーフレット」を配布し、平成20年3月の「学習指導要領」(小中学校用)には「情報モラル教育充実に関する事項」が規定されました。
 また、総務省と文部科学省と情報通信関係団体が協力して、平成18年度と19年度に「e―ネットキャラバン」を47都道府県で実施、保護者や教員の啓発を行っています。

 政府の対応開始は遅かったと思いますが、最新の調査によると、子供達が「ネットの危険性について知ったきっかけ」は、「教師から聞いた」が61%、「テレビ等で知った」が58・9%、「家族から聞いた」が30・6%となっており、政府と自治体と学校現場が取組み始めた「情報モラル教育」に一定の成果が見え始めていることが分かります。
 また、マスコミ各社の報道による啓発効果も高かったと思います。

 政府がなすべきことは、ネットいじめやネット上の違法・有害情報から子供を守る為の「情報モラル教育の推進」と「保護者や事業者への啓発」「名誉毀損等の違法情報の取締り強化」であると思います。

 次に、保護者が為すべきことですが、「子供が使う携帯にもPCにもフィルタリングをかけること」「PCは、居間などの共有スペースに置くこと」「パソコンのブラウザー履歴を定期的にチェックすること」「子供の名前で検索して、ブログやウェブサイトをチェックしてみること」「子供がネットいじめに遭っているということを知った場合には、証拠保全をし、学校や警察やインターネット協会などに相談すること」などであろうと思います。

 学校が為すべきことは、「全教員が十分な知識を持った上で情報モラル教育をすること」「保護者会などの機会ごとに、保護者に協力を求めること」「可能な限り、掲示板の定期的監視をすること」「被害発生時に、ログや掲示板アドレスやスレッドもプリントアウトして、速やかに警察に届けること」「証拠保全後に、サイト管理者に削除を要請すること」などだと思います。

 特に、子供達には「ネットいじめは犯罪であり、逮捕の可能性もあること」「送信者が特定できること」「ネットでしか知らない相手に自分や友人の個人情報を教えないこと」「グループ・ホームページなど内輪の場所であっても、コピーされて広がる可能性があるので、不用意な書き込みはしないこと」などを教えてあげていただきたいと願います。

 地域社会でも、取組みが始まっているようです。
 石川県野々市町では、PTAやNPOによる「ネット・パトロール」をして下さっていますし、茨城県PTA連絡協議会では、研修を受けたPTA会員やOBによる保護者啓発講習を行っておられます。
先進地域の取組みをお手本にして、全国各地で地域に根ざした活動をされている団体が立ち上がって下さると、一気に対策が進むと思います。

 民間企業でも、様々なサービスが生まれています。
 学校裏サイトの調査・分析・被害者特定・サイト監視・対策相談をビジネスにされている企業もありますし、保護者に子どもが訪問しているサイトを連絡送信するサービスを提供している企業もあります。
 また、SNSを提供されている企業では、誹謗中傷・公序良俗に反する書き込みや勧誘行為の全面禁止を明文化し、社員が365日の監視を行い、違反ユーザーには退会等のペナルティーを科すなどの努力をされているところもあります。

 ネットいじめの被害者は子供だけではなく、これまでにも、会社員や主婦の方からも、ネット上の誹謗中傷被害に遭った為に外出ができなくなってしまった旨の悩みを伺ったことがありました。
 匿名性を悪用した誹謗中傷がいかに陰湿で卑怯な行為であるかを日本人の共通認識として、社会全体でできる限りの取組みをしたいものです。私自身も国政の場で、対策推進に頑張ります。

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