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ネットいじめ①;ネットいじめの残酷さ

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 今週は、いわゆる「ネットいじめ」について書きます。

 「ネットいじめ」の代表的なスタイルは、「学校裏サイトへの中傷書き込み」「プロフのなりすましいじめ」とされています。
 最近では、「特定学校裏サイト」は減ってきており、「プロフ」や少人数での「グループ・ホームページ」や「スレッド型匿名掲示板」にいじめの舞台が移ってきているそうです。

 政府にも、ネットいじめの発生件数の正確な把握はできていないと思います。
 平成19年度の「法務省人権擁護機関による新規救済手続き開始件数」を見ますと、「学校におけるいじめ」が前年度比121・2%増、「ネット利用人権侵犯」が48・2%増となっています。
 平成18年度の文部科学省による調査では、「いじめ」の件数は12万4898件で、そのうち「ネットいじめ」は4883件(3・9%)となっていましたが、実際にはもっと多い可能性が高いと思います。
 なぜならば、「ネットいじめ被害者の3割から4割は、誰にも話していない」とされるからです。 
 携帯電話を取り上げられてしまうことを恐れて、子供たちは親に打ち明けることもせず、表面化しにくい問題であるようです。

 現在、携帯電話を持つ子供は、小学生で3割、中学生で6割、高校生で9割以上だそうですから、実に多くの子供がインターネット接続可能な環境におかれ、ネットいじめの加害者にも被害者にもなり得る環境です。

 私が子供の頃にも「いじめ」はありましたが、対面による言葉でのいじめや軽い暴力でした。ところが、昨今の「ネットいじめ」なるものの残酷さは、実に性質が悪いものだと感じます。

 まず、「ネットいじめ」は、時間や空間を選ばずに継続し、「加害者から離れても続行するもの」だからです。
 昔でしたら、学校から自宅に帰ればいじめっ子に会わなくて済んだわけですが、ネットによるいじめは自宅に居る時間も続行します。転校しても続くケースがあるようです。

 また、「匿名性による残酷さ」が被害を深刻なものにします。
 加害者となる子供たちも、メルアドやチャットルームIDは複数作れるので加害者特定には手間がかかるという特性を知っていますから、匿名による気軽さで対面では言えない様な酷い言葉を書き込みます。
 被害者側は、加害者がすぐには分からない不安から、周囲の友人たちに対する疑心暗鬼で大きなストレスを抱え込みます。

 そして、「名誉毀損と言える内容の書き込み削除が遅れると、被害があっと言う間に拡大してしまう」ことも特徴です。
 中傷や写真等をコピーして送られる、チェーンメールとして転送される、直接本人にコメントを送る為のeメールアドレスのリンクを張られる事もあります。

 文部科学省の「いじめの定義」(平成19年1月『生徒指導上の諸問題に関する調査の見直しについて』より)は、「児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」とされていますが、「ネットいじめ」に関しては、この定義を超えるものになってしまう可能性もあるのです。
 つまり、「一定の人間関係のある者から」の攻撃に留まらず、「人間関係の無い人による攻撃」にまで発展する危険性をはらんでいます。

 子供であれ大人であれ、ネット上で集団リンチ的に誹謗中傷され、それが広がっていくことを「祭り」→「炎上」などと表現しているようですが、深刻なのは「発掘」と呼ばれる段階。
 攻撃されている個人の実名や住所、電話番号、写真などが流れ始めたら、直接、見知らぬ人から嫌がらせ電話がかかってきたり、性犯罪に巻き込まれたりといった現実世界の恐怖に繋がっていきます。

 インターネットは便利なもので、今や、ビジネスにも行政にも日常生活にも欠かせないものとなりました。
 だからこそ、情報通信の健全な発展に向けて「負の側面の克服」への努力を、怠ってはいけないのだと思います。

 政治も、教育者も、事業者も、地域社会も、保護者も、それぞれが問題意識を強く持って対策を講じるべき時期に来ていると思います。
 「それぞれの主体がいかなる取組みをすべきなのか」ということについては、次回に書かせていただきます。

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