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「児童買春・児童ポルノ禁止法」改正案作りに取組んでいます。

更新日:

 このところ、急ぎの議員立法作業2本を抱え、本会議や委員会以外の空き時間は書類の山に埋もれて作業に没頭していました。
 選挙区との往復の新幹線車内も、条文の精査や想定問答作り。眼の奥の痛みと肩こりに年を感じております。
このページを更新する気力と時間が無く、しばらくのご無沙汰でありました。

 1本は「インターネット上の有害情報から青少年を守る為の新しい法制度作り」、1本は「児童ポルノの単純所持を禁止する為の法改正作業」となる議員立法です。

 今日は、「児童買春・児童ポルノ禁止法」(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律)の改正作業について書きます。

 この法律は、1999年(平成11年)に制定されました。
 18歳未満の「児童」を対象にした買春や買春の斡旋を禁止するとともに、写真や電磁的記録等の「児童ポルノ」の「販売」や「インターネット等への掲示」を禁止しています。
 「第三者に提供する目的」であれば、児童ポルノの「製造」「所持」「運搬」「輸入」「輸出」「電磁的記録保管」も禁止されています。
 これに反した者は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となり、不特定若しくは多数の者に提供した者や公然と陳列した者は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科」となっています。

 この度の改正案作りでは、現行法で禁じられている「提供目的」か否かに関係なく、「単純に収集・所持」することも禁じる内容を検討しています。
 現行法では「単純所持」が規制対象ではない為、児童ポルノの「需要(入手)」が止まらず、結局は「供給」が続いているのです。

 世界各国が児童ポルノの製造や運搬のみならず「単純所持」をも禁ずる法律を整備する中で、日本国内に「児童ポルノを買ってくれるお客さん」が存在する為に、他国での違法供給者も撲滅できず、日本は国際社会から「児童ポルノ大国」と批判される有様です。

 先月、たまたま読売新聞の「論点」にシーファー大使が投稿されていた論文を読んで、何とか法改正ができないかなあ・・と考えていました。
 その後、米国のシーファー大使が、鳩山法務大臣や自民党の谷垣政調会長に「日本も、児童ポルノ単純所持を禁止する法整備をして欲しい」と要望され、日本ユニセフ協会からも法整備の要請がありました。
 
 谷垣政調会長と相談の上、自民党法務部会に児童ポルノ禁止法改正を検討する小委員会を設置することとなりました。
 倉田雅年法務部会長に相談に上りましたら、すぐに小委員会設置を了解して動いて下さいました。そして、児童ポルノ問題に長年取組んでこられた森山眞弓・元法務大臣が小委員長を引き受けて下さり、私は事務局長として、会議の設定、論点ペーパー作り、法改正案の叩き台作りなどの実務をすることとなったわけです。

 先週までに2回、小委員会を開催しましたが(今週は水曜日に3回目を開催します)、臼井日出男・元法務大臣、保岡興治・元法務大臣も参加して下さり、熱心な議論が行われています。

 小委員会が始まって以来、私の所にも「児童ポルノを観なければ興奮できない男性もいるのに、どうしてくれるのだ」「児童ポルノを愛好する権利はあるはずだ」といったご意見が寄せられていますが、そのような「権利」を認めることで「ポルノ写真を撮られた児童の被害」を放置するわけにはいきません。

 日本ユニセフ協会が3月11日に開いた記者会見で読み上げられたある女性の手紙には、胸が痛みました。
 「今も私の写真がネット上に流れ続けている。大人になっても、恋愛も結婚も子供を産むこともできない。あの写真がある限り」。

 私の地元である奈良県では、2004年に女児誘拐殺人事件が発生しました。
加害者の携帯電話に児童ポルノ画像が多く保存されていたことから、児童を対象とした性犯罪と児童ポルノの関係が取沙汰されました。
 翌2005年から、奈良県では「13歳未満の児童を対象とした児童ポルノの単純所持を禁止し、違反者を処罰する」内容の条例が施行されました。
私が知る限り、全国で単純所持まで禁止しているのは奈良県だけだと思います。

 国の法律を改正して単純所持を禁止することで、これまで児童ポルノ写真を保存していた人たちの廃棄作業が進むと思います。日本ユニセフ協会が紹介した女性のようなケースでも救われる可能性が出てきます。

 国会内にも「プライバシーの侵害だ」「捜査権の濫用につながる」といった反対論があるようですが、「子供を性犯罪から守ること」「生涯続く精神的苦痛から救うこと」の必要性にご理解をいただきたいと思っています。

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以下、この問題に興味をもって下さっている方の為に、「児童ポルノ・単純所持禁止についての海外の法制例」を紹介します。

①アメリカ;
単純所持に対して、5年以下の禁錮若しくは25万ドル以下の罰金又はその併科。         

②英国;
単純所持に対して、3年以下の拘禁刑、罰金刑(正式起訴の場合)、6月以下の拘禁刑、罰金刑(略式起訴の場合)。

③フランス;
単純所持に対して、2年以下の拘禁刑及び3万ユーロの罰金。

④イタリア;
単純所持に対して、6年以下の懲役又は300万リラ以上の罰金。

⑤カナダ;
 単純所持に対して、5年以下の自由刑。 

⑥スウェーデン;
 単純所持に対して、2年以下の拘禁刑。軽微な場合は6月以下の拘禁刑。

⑦ノルウェー;
単純所持に対して、2年以下の拘禁刑又は罰金。

⑧ドイツ;
性的虐待を伴う児童ポルノについては、単純所持も2年以下の自由刑又は罰金。


●G8参加国で、単純所持を禁止していないのは、日本とロシアのみ。
●韓国では、営利目的所持は7年以上の懲役だったが、最近、単純所持も禁止した。

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