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年金記録問題について

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 先週は、年金記録問題解決に向けた作業工程について、自民党が公約違反をしたのではないかという点が大きくクローズアップされました。

 福田内閣は、今年7月5日の「政府与党合意」に沿って作成された工程表に従って、年金記録の照合・統合作業を進めています。

 まず、平成20年3月までを目途に、基礎年金番号に結びついていない記録の「名寄せ」をした上で、一致可能性のある方に「年金特別便」を送付して確認を求めること。

 次に、平成20年10月までを目途に、約1億人の全加入者に対しても、各人の年金加入履歴が記された「年金特別便」を送付すること。
 既に年金受給者である方々については急ぎますから、60歳以上の方々には5月までに送付、受給者ではない現役世代の方々には10月までに送付できるように・・という目標に向かって作業中なのです。

 この「年金特別便」に書かれている個人の加入履歴をご自分でチェックしていただき、加入していたはずの期間が未加入になっている場合には、必ず訂正して返送していただかなければなりません(訂正箇所が無い方も全て返信が必要です)。
 その返信情報を参考にしながら、社会保険庁は記録の統合作業を進めていくわけです。
 古い加入履歴であっても、個人が特定できたものには、時効に関係なくお支払いができるようにと、政府与党は「年金時効特例法」を成立させたのです。

 以上の段取りは、7月5日の「政府与党合意」から変更ありません。

 しかし、自民党が参院選の約1ヶ月前に作成した政策ビラには、明らかな誤記述がありました。この点につきましては、自民党所属の国会議員として、国民の皆様にお詫びを申し上げます。
 
 自民党の広報局は、6月1日と6月11日の2回、年金に関するビラを作っています。
 6月11日作成のビラでは、「今後1年で名寄せを全て完了します」「今後1年間で全ての統合を完了させます」と書かれてあり、「名寄せ」と「統合」を混同して使用しています。 
上記の通り、コンピューターで「名寄せ」した上で、国民に通知をし、返信をいただいてから「統合作業」に入るのですから、この記述は明らかに間違いです。
 
 それから、自民党本部がビラを作成した時期は、7月5日に「政府与党合意」がなされる1ヶ月も前ですから、政府が実際に進めている手順とは違っている箇所もありました。

 正式に政府の方針が決定する前に先走った党広報がなされ、混乱を招いたこと、そして、政府方針が決定した後の参院選挙期間中の広報が不十分だったことについては、自民党所属国会議員としても、当時の安倍内閣の閣僚としても、率直にお詫びを申し上げるしかないと思います。本当に申し訳ございませんでした!

 現在、多くの皆様に不安を与えている年金記録問題ですが、この解決には、国民の皆様のご協力が不可欠です。

 1997年以前は、転職等の度に別の年金手帳が発行されていましたから、10年前の時点では、年金加入者1億人に対して約3億口の年金記録が存在しました。
 10年前に、「基礎年金番号」を作って、1人1記録に統合することになった際、社会保険庁は国民や企業に対して記録確認を求めました。
 この時、未回答だった国民も多く、完璧な統合はできなかったのです。
 その後、受給開始時の申請で統合作業を進めていましたが、それでも5000万口の記録がまだ未統合であるというのが現状です。

 社会保険庁に残っている年金記録で、誰のものか特定できないものが発生している理由は幾つか考えられます。

 まず、転職、転居、結婚、離婚などの際に、会社や市区町村で自らやるべき手続きをしなかった方が多く居られること。
 転職前の加入履歴が、新しい会社で加入した年金履歴に繋がっていない方。結婚や離婚で姓が変わった時に届出をしておらず、旧い姓の時期の加入履歴が別人の年金記録として残ってしまっている方など・・。

 また、事情があって氏名や年齢を偽って働いていた人についても、ご本人からの申し出がない限り、特定が困難です。
 
 最悪なのは、企業や公務員による横領・着服のケース。
 ご本人は加入していたつもりで保険料も引かれていたのに、社会保険庁のデータでは未加入になってしまっているわけです。

 以上のような様々な要因をクリアして、全国民が正しく年金を受け取るためには、社会保険庁から順次発送される「年金特別便」をチェックしていただき、必ず返信をしていただくことが必要です。
 何卒ご協力をいただきますよう、お願いを申し上げます。

 そして、政府与党は、再発防止策として決定した政策の実現にも取組んでいかなければなりません。

 第1に、以前にこのページでも書かせていただいた「社会保障カード」導入に、怠りない準備をすることです。特にセキュリティー対策です。このカードが導入されますと、ご自宅でも常時、年金保険料納付履歴の確認ができるというメリットが得られます。

 第2に、年金記録と「住基ネット」の連動を可能にすることです。これが実現すれば、死亡・転居・氏名変更を確実に年金記録に反映することが可能になります。
 自治体によっては、首長さんが「住基ネットに反対」という所もあり、困難な課題でもあります。

 第3には、政府全体の課題ですが、「レガシーシステム」の刷新です。これは、順次進んでいくと思います。

 以上、前向きな改革も進めながら、信頼に足る年金制度を構築していきたいと思っています。

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