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不良債権処理に伴う課題

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 内閣改造直後、竹中経済財政・金融担当大臣が、平成16年度中の不良債権処理を目標として「不良債権処理加速」の方針を打ち出されました。

 これを受けて、副大臣就任翌日の記者懇談会の席上、私は経済産業省において最優先で取り組みたい政策課題を語りました。それは「不良債権処理加速に伴って生じるであろう諸問題への対応」でした。


 不良債権処理を加速するということは、資産査定・検査を厳格化し、引き当て強化をするということでしょうから、所謂「貸し渋り」「貸し剥がし」は益々深刻化し、資金調達難から企業倒産とそれに伴う失業者の増加が予想されます。当然、デフレ圧力が生じることになります。

 例えば「破綻懸念先」以下のレベルの15・4兆円分に限って不良債権処理を実施しますと、離職者70万人、失業者は20万人増えると試算されています(失業率は0・3%増)。

 もしも「全国銀行要管理先」以下の不良債権43・2兆円を処理しようとしたならば、離職者200万人、失業者60万人増(失業率は0・9%増)という驚くべき数字となってしまいます。


 そんな状況で需要が増えるはずもなく、 デフレは更に進行。デフレによって、企業では売り上げは落ちるのに債務は減らないわけですから体力は弱ってきます。また、再生手続き等で土地が放出されることで地価の下落が続きます。特に地価・株価下落といった資産デフレが進めば、金融機関でも新しい不良債権が発生し続けることから、「平成16年度中の不良債権処理」 という政府目標の達成は困難になってしまいます。

 また、 担保価値の下落から企業の運転資金や設備投資資金の調達環境は益々厳しくなってしまいます。 設備投資の低譲が続けば、地価が上昇する環境は整いません。 まさに「恐怖の悪循環」となるのです。


 経済産業省でまずやれることは、中小企業金融のセーフティーネット対策です。商工中金の無担保融資拡充や信用保証協会のセーフティーネット保証の対象拡大などを実施し、未来の競争カが期待できる企業を潰さない事が肝心です。

 倒産した企業や失業した人から税金は取れませんし(歳入減)、政府の失業対策費も今年度5500億円に達しています(歳出増)。このままでは小泉内閣が目指す「財政構造健全化」まで達成できなくなってしまいます。

 企業側の構造改革を進めることが重要である―方で、政府も真面目でヤル気のある企業を守り、雇用を確保する為の応援をしなくてはなりません。今はとにかく悪戯に「事業主体」を減らさない方策を考えるべき時期でしょう。

 デフレ対策に関しては、経済産業省で出来る事は限られてしまいますが、政策税制が中心になるでしょう。

 土地税制改革で土地流動化を促し、贈与税非課税枠の拡大で住宅建設を誘い、中小企業投資促進税制や中小企業技術基盤強化税制の拡充や事業承継税制の更なる見直しによって前向きな企業を応援することが重要だと考えています。

 平沼経済産業大臣のご指導の下、多くの職員とも議論をしながら、構造改革に伴う「リスク」の部分を軽減する仕事をしたいと思っています。

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