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「社会保障カード」導入に向けたセキュリティ対策の緊急性

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 皆様は、安倍前総理が、「平成23年度(2011年度)に『社会保障カード(仮称)』を導入する」と発表されたことを覚えておられると思います。
 これは、年金記録問題の深刻化を受けて、国民が自分の保険料納付記録等をいつでも自分で確認することを可能とすることを目指したものです。

 「年金」に加えて、「医療」「介護」「雇用」の4つの社会保障制度の被保険者証を1枚のICチップ入りカードに統一します。
 国民全員に配布される1枚のカードが、年金手帳、健康保険証、介護保険証の役割を兼ねる上、ご自宅のパソコンや近所の公共施設の機械などで自分の加入履歴を確認することが可能になるわけです。
 加えて将来は、健康診断結果等の医療情報も閲覧可能とする予定です。転居先や出張先などで新しい病院にかかった場合でも、直近に別の病院で受けた検査結果を参考にすることで、より迅速な治療や病状の進行具合のチェックが可能になると思います。

 福田政権でもこのプランは引き継がれ、先月27日に、厚生労働省では「社会保障カードの在り方に関する検討会」(有識者会議)の初会合が開かれたと聞いています。

 今年8月8日、私は官邸に安倍総理(当時)を訪ねていました。IT担当大臣として、社会保障カード導入に向けてのセキュリティ上の留意点を、IT戦略本部長である総理にお伝えし、検討体制の強化と予算・人員措置をご決断いただきたかったからです。

 今年4月27日、エストニア共和国の政府機関や主要銀行などのコンピュータ・ネットワークが約3週間にわたって猛烈なサイバー攻撃を受けました。
 大統領府・国防省・外務省など多数の政府機関、主要銀行、新聞社がサイト停止などに追い込まれ、一時は携帯電話網や救急ネットワークも攻撃を受け、国民生活基盤が大打撃を被るという事態が発生したのです。

 4月27日に行われたのは、「一度に大量のアクセスを集中 させてインターネット・サイトやネットワークをダウンさせる」という攻撃でした。
 ロシア国内からの攻撃とされた為、エストニア共和国政府が設置した「コンピューター緊急対策チーム」が、ロシアからのインターネット・トラフィックを遮断しましたが、ボットによる遠隔操作で攻撃は継続しました。
 5月に、エストニア政府からの要請を受けて、NATOが事実関係の究明と防衛策の構築支援を目的に電子犯罪の専門家を派遣しました。

 エストニア共和国は、1991年の独立後、「IT立国」を国策に掲げ、電子政府の推進や、ICチップを搭載した「国民IDカード」普及など、国全体の電子化を進めていました。現在では、政府機関はほぼペーパーレスで業務を行っています。
 2005年に世界初となる全国規模のネット投票を地方選挙に導入し、さらに2007年3月には、世界で初めて国政選挙にも導入しました。

 電子政府を進め、「社会保障カード」導入を目指す我が国においても、同様の事態が起きる危険性は否定できないと思いました。
 「社会保障カード」導入は、安倍政権が国民に約束し、遠い未来に渡って国民生活に影響を及ぼす重要政策でありますから、万が一の失敗も許されません。

 そこで、私から安倍前総理には、下記の3つの提案を致しました。

 第一に、「社会保障カード設計に関わる組織体制の整備」です。

 8月の時点では、内閣官房IT担当室の下、厚生労働省が設計・開発に当たる予定とされていましたが、セキュリティ対策を万全なものとする観点から、設計段階から、内閣官房情報セキュリティセンターを加えた「一元的に責任を有する組織体制」の構築が必要だと訴えました。
 また、大学、研究所等の専門家からなる外部評価組織を設け、計画・設計・開発等の段階毎に厳しいチェック機能を働かせていくことを求めました。

 第二に、「計画策定と実証実験の早期実施」です。

 平成23年度中のカード導入に向け、現実的かつ詳細な研究開発計画を至急策定することが求められます。さらに、導入までには十分な実証実験の実施が必要です。

 第三に、「予算・人員の確保」です。

 私から複数の専門家にご意見を伺ってみましたら、社会保障カードのセキュリティについて安心を確保する為には、最低3年間の実証実験は必要だということでした。そうすると、平成23年度の導入を予定するならば、早速、来年度(平成20年度)からの本格的な予算措置・人員措置が必要となると思ったのです。

 安倍総理は熱心に耳を傾けて下さり、その後すぐに、第一の要望であったセキュリティの専門家も加えた一体的検討体制を構築して下さいました。
 
 第二、第三の要望については、その後の内閣改造や安倍内閣の退陣によって福田政権の取組みに期待するばかりです。私自身は、1人の国会議員として、福田政権の取組みをフォローアップしていきたいと思っています。
 優れた技術を活用して国民生活が便利になる一方で、想定されるあらゆるリスクに対して的確な備えをし、国民の安全・安心を確保することは、政府の重要な役割です。

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