経済安全保障版セキュリティ・クリアランス制度の創設に向けて
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去る1月30日、官邸で第6回となる「経済安全保障推進会議」が開催されました。
会議では、私から、1月19日付で公表されたセキュリティ・クリアランス有識者会議の『最終とりまとめ』の内容を報告するとともに、これを踏まえた今後の対応として、政府が保有する経済安保上重要な情報について、コンフィデンシャル級のものを保全する新制度を創設することなどを報告いたしました。
その上で、岸田総理から私に対し、
- セキュリティ・クリアランス制度に関する新法案を早急にとりまとめ、与党との調整を進め、今通常国会への提出に向け準備を加速すること
- クリアランスの新制度が我が国の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め、必要な措置を講じること
について、ご指示がありました。
総理のご指示を踏まえ、新法案の通常国会提出に向けた準備を急いでいるところです。
経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度につきましては、いくつかの疑問点を指摘される方もおられますので、それぞれについて述べさせていただきます。
第1に、「民間事業者が広く対象となるのではないか」といったお声や「対象となる情報があいまいだ」とのご指摘がございます。
『最終とりまとめ』では、「制度の対象者」については、「セキュリティ・クリアランスを受けることとなる者は…政府から秘密情報の提供を受ける意思を示し、…政府が保有する秘密情報の内容に触れることを要する業務を行おうとする事業者及びその従業者である」とされています。
政府としての検討に当たっても、こうした情報に触れる必要のない民間企業の従業員の皆様を広く対象とすることは考えていません。
『最終とりまとめ』では、「制度の対象とすべき情報」については、「我が国として真に守るべき政府が保有する情報に限定し、そこに厳重な鍵をかけるというのが基本的な考え方」とした上で、具体的には、「国家及び国民の安全を支える我が国の経済的な基盤の保護に関する情報の候補」が示されているとともに、「指定の対象となる情報の範囲については、法令等によりあらかじめ明確にしておくべき」との指摘がなされています。
これらを十分に踏まえて新法案の検討を進めています。
第2に、「身辺調査について、プライバシーとの関係での懸念がある」とのご指摘もございます。
『最終とりまとめ』では、「信頼性の確認やそのための調査とプライバシーとの関係」については、「クリアランスを真に必要とする者の任意の了解の下で」「丁寧な手順を踏んだ上で本人の同意を得て調査を行うことが大前提」とされ、「信頼性の確認に当たって収集される情報は、行政機関において厳重に管理されることが必須である」ことや「情報の目的外利用の禁止」など、配慮すべき点が種々盛り込まれています。
ここは、とても重要な点ですので、十分に留意しながら新法案の検討を進めています。
日本の重要技術情報の保全体制を整えるとともに、日本企業の海外におけるビジネスチャンスの拡大にも資する新法案ですので、しっかりと作り込んでいきます。