大臣留任にあたって
更新日:
昨年8月10日に国務大臣を拝命して以来、政策の構築や法施行などに関して、多くの皆様に御指導と御協力を賜り、有難うございました。
昨日9月13日に内閣改造が行われ、引き続き経済安全保障担当大臣を拝命し、併せて、内閣府特命担当大臣として、科学技術、宇宙政策、知的財産戦略、クールジャパン戦略等を担当することとなりました。
心を新たに、全力を尽くす決意です。
国務大臣留任に当たり、主な担当分野について、改めて私の抱負を申し述べます。
【経済安全保障】
安全保障の裾野が、従来の外交・防衛だけでなく経済分野にも拡大する中、国家及び国民の皆様の安全を経済面から確保することは、喫緊の課題です。
これまで繰り返し申し上げてまいりましたが、経済安全保障分野における「セキュリティ・クリアランス」については、わが国にとって非常に重要であり、急いで実現しなければならない取組です。
わが国の情報保全の強化と日本企業のビジネスチャンス拡大に向け、法制度整備に向けた検討を更に加速させてまいります。
また、来年春頃の制度運用開始を念頭に、「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度」や「特許出願の非公開に関する制度」の準備を進め、『経済安全保障推進法』を着実に推進するなど、幅広い関係省庁の先頭に立って、スピード感を持って対処してまいります。
既に実施している「重要物資の安定的な供給の確保に関する制度(サプライチェーンの強靱化)」や「先端的な重要技術の開発支援に関する制度」の充実にも、引き続き、取り組みます。
【重要土地政策】
『重要土地等調査法』に関しては、区域の指定を進めるとともに、区域内の土地等の所有・利用状況などについての調査等を着実に実施し、安全保障上の重要施設等に対する機能阻害行為を防止するべく、万全を期してまいります。
【科学技術政策】
岸田政権の成長戦略では、第1の柱に「科学技術立国の実現」を掲げています。
科学技術・イノベーションをめぐる各国の覇権争い、先端科学技術の急速な進展、経済安全保障をとりまく環境の激変などに直面する中、経済社会構造変革の鍵となる科学技術・イノベーションの重要性が一層高まっています。
『第6期科学技術・イノベーション基本計画』に基づき、「Society 5.0の具体化」に向け、これまでの発想にとらわれない大胆な政策を進めてまいります。
具体的には、
- 生成AIのリスクへの対応・利用促進・開発力の強化に向けた取組、量子技術・フュージョンエネルギーの実用化・産業化に向けた各種取組の推進
- 東北大学の国際卓越研究大学への認定・認可に向けた体制強化計画の磨き上げや、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の採択に向けた審査などの文部科学省の取組とも連携した、大学ファンドと総合振興パッケージの「車の両輪」による支援
- 安全・安心に関するシンクタンクの本格的な設立準備と経済安全保障重要技術育成プログラムの取組をはじめとする安全・安心に関する取組の推進
などについて、尽力してまいります。
【原子力政策】
本年2月に原子力委員会において策定した『原子力利用に関する基本的考え方』にもある通り、原子力政策については、安全性の確保を大前提としつつ、国民の皆様の御理解と信頼を得ていくことが重要です。
本年5月に成立した『GX脱炭素電源法』では、『原子力基本法』に国の責務等原子力利用に当たっての原則を追記しました。
原子力利用全体の目指すべき方向性に関しては、中立的・俯瞰的視点から関係省庁ともしっかりと連携して検討・取り組んでいくことが必要だと考えています。
また、わが国のプルトニウム利用の透明性の確保など、原子力の平和利用にしっかりと取り組んでまいります。
【宇宙政策】
宇宙システムは、「国力」、すなわち、「外交力」、「防衛力」、「経済力」、「技術力」、「情報力」の基盤です。
国際的に宇宙開発競争が激化する中で、わが国として、世界の動きに遅れをとってはなりません。
今年6月に『宇宙基本計画』を閣議決定し、我が国初となる『宇宙安全保障構想』も策定しました。これらをしっかりと実行に移してまいります。
具体的には、例えば、次のような取組に尽力いたします。
日本の優れた測位技術を活かした準天頂衛星システム「みちびき」の7機体制(現在は4機)構築に向けた着実な開発・整備、さらに、11機体制への拡張に向けた検討・開発も推し進めていきます。
今年の5月、G7科学技術大臣会合のコミュニケと広島の首脳によるサミットの成果文書に、スペースデブリ対策を盛り込むことができました。次のステップとして、デブリの発生抑制と削減のための技術開発を推進するとともに、その運用のための国際ルール作りの議論を進めてまいります。
また、悪天候や夜間であっても撮像可能な合成開口レーダーSAR衛星の技術は、わが国が世界に誇る技術です。安全保障や防災などに活用できるように、2025年までに小型衛星コンステレーションを構築するべく、関係省庁と連携して支援に取り組みます。
デブリ対策や小型SAR衛星に関わる技術の開発には、スタートアップが大きな役割を果たしており、多くの企業が宇宙産業に参入することが重要です。
今後、わが国が開発すべき技術を見極め、『宇宙技術戦略』を新たに策定します。
さらに、JAXAの、戦略的かつ弾力的な資金供給機能を一層強化し、スタートアップも含めた民間事業者や大学などによる、先端技術開発や宇宙実証、商業化を支援してまいります。
そして、基幹ロケットの着実な開発と安定的な打上げは、自立的な宇宙活動を確保するとともに国際競争力を強化するため不可欠であり、わが国の宇宙活動の基盤です。
昨年度の2度の打上げ失敗の原因究明と対策検討にはしっかりと取り組んでいただき、H3ロケットとイプシロンSロケットという新型基幹ロケットの開発を前に進め、打上げの実績を着実に積み重ねることを期待します。
関係府省庁がしっかりと連携し、私自身が先頭に立って、政府全体の宇宙政策をしっかりと進めてまいります。
【健康・医療戦略】
国民の皆様が健康な生活と長寿を享受することができる社会を実現しなければなりません。
第2期(2020~2024年)の『健康・医療戦略』に基づき、革新的な医薬品の創出、今後のパンデミックに備えたワクチンの開発、再生・細胞医療・遺伝子治療など、健康・医療に関する研究開発に、先頭に立って取り組んでまいります。
特に、超高齢化社会を迎えているわが国において、認知症への対応は国民の皆様から大変期待されている政策課題です。認知症等の脳神経疾患に関する研究開発を積極的に推進してまいります。
さらに、『グローバルヘルス戦略』を通じた国際展開の促進や、新産業創出など、健康長寿社会の実現に向けた施策を着実に進めてまいります。
【知的財産戦略】
今後、多様なプレイヤーが世の中の知的財産の利用価値を最大限に引き出す社会を実現し、日本の産業の競争力を強化するためにも、知的財産戦略は重要です。
内閣府が司令塔となって、関係省庁と協力して、『知的財産推進計画2023』の着実な実行を図ってまいります。
【クールジャパン戦略】
この度、新たに『クールジャパン戦略』も、担当することとなりました。
日本ファンの外国人を増やし、日本のソフトパワーを強化するため、関係省庁及び官民の連携を図りつつ、『クールジャパン戦略』を強力に推進してまいります。
【特定秘密の保護に関する制度】
『特定秘密保護法』の適正かつ円滑な施行のため、制度の適切な運用に万全を期してまいります。
【遺棄化学兵器処理】
『化学兵器禁止条約』におけるわが国の義務を履行するため、引き続き、処理事業を着実に進めてまいります。
以上、多岐にわたる担当業務について、全力を尽くして働いてまいる所存です。