岸田総理への申入れ①:原子力災害に伴う風評の払拭に向けた情報発信の強化等を政府に求める決議
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今週の木曜日(2月10日)、佐藤正久・外交部会長、石川昭政・経済産業部会長、鈴木憲和・外交部会わが国の人権外交のあり方検討PT座長、辻清人・同PT事務局長とともに、官邸に岸田総理を訪ね、自民党政調会として取り纏めた決議1件と提言1件につき、申し入れを行いました。
岸田総理は、丁寧に私達の説明を聴いて下さり、改善に向けた検討を約束して下さいました。
1本目の決議は、下記の通りです。
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≪原子力災害に伴う風評の払しょくに向けた情報発信の強化等を政府に求める決議≫
先般、わが国の総理経験者5名が、欧州委員会委員長宛に発出した書簡(1月27日付)の中で、福島第一原子力発電所事故に関し、「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」と記載しているが、科学的知見に基づかない誤った情報を世界に流布するものであり、無責任な行動と断じざるを得ない。
福島県が実施している甲状腺検査により見つかった甲状腺がんについては、県民健康調査検討委員会やUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)などの専門家会議により、現時点では放射線の影響とは認められないとの見解が示されている。
また、科学的根拠に基づかない風評の払しょくに向けては、これまで政府においても放射線の健康影響にかかる情報発信事業(ぐぐるプロジェクト)やUNSCEARの評価について専門家が解説する動画の配信、海外向けポータルサイトによる科学的根拠に基づく正確な情報の発信や放射線副読本による放射線教育などの地道な取組みを行ってきている。
それにもかかわらず、福島県の子供に放射線による健康被害が生じているという誤った情報を発信することは、いわれのない差別や偏見を助長することにつながりかねない。
加えて、一部の国・地域が、被災地を中心とする広域の農林水産品に未だ輸入規制を課す中で、その解除に向け各国へ働きかけ、規制を導入した55か国・地域のうち、41か国・地域の規制撤廃を実現させた政府及び地元の方々の血の滲むような努力を無にする恐れすらある。
去る2月1日、山口壯環境大臣から総理経験者5名に対し、「適切ではない」とする書簡を発出したことは評価するが、政府においては、誤った情報の発信や追随する行動を未然に防ぐべく、この際、科学的知見に基づく正しい情報の国内外への発信の強化と国際社会への丁寧な説明に一層取り組むことを強く促し、ここに決議する。