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予算委員会質疑報告⑤:在外邦人保護と自衛隊法

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○高市委員

 仮に、仮にですが、中台有事と言われる事態が発生した場合に備え、内閣は、先島諸島などにお住まいの皆様の安全を確保するということに加えて、中国在留邦人約112,000名、台湾在留邦人約25,000名の皆様の救出手段についてもあらかじめ検討をしておかなければなりません。

 総理は、現在の自衛隊法は在外邦人救出を行う上で十分な内容を備えているとお考えでしょうか。

 

○岸田内閣総理大臣

 現在、多くの日本人が海外で活躍する中で、こうした日本人の安全、安心を守っていくこと、これは政治にとって大変重要な役割であると考えます。

 例えば、先日のアフガニスタンのような困難な状況の中にあっても、在外邦人の生命身体の保護に万全を期すことが重要である、これは強く感じます。

 そして、自衛隊法、十分かという御質問でありますが、例えば自衛隊法84条の3という点につきましては、かつて、平和安全法制の議論の中でも、憲法やあるいは国際法の観点から随分と議論が行われた、こうした課題であります。これについては十分な審議が行われたと認識をしていますが、一方で、84条の4、これは、アフガニスタンの事例において、自衛隊機が現地の安全をどう確認するかという部分に関わる条文でありますが、これについては更に改善することができないか、これについては検討を指示したところであります。

 このように、平素から、海外で邦人が危機にさらされた際に邦人の保護、退避にどのように対応していくのか、全力でそうした対応ができるように平素から準備をしておくこと、これは重要だと認識をいたします。

 

○高市委員

 今、84条の4について検討を指示したとおっしゃいましたが、84条の4は在外邦人等の輸送を任務とするものでございます。

 今年の8月、アフガニスタン、まさにこの84条の4によって自衛隊が派遣されましたが、輸送業務ですから、自衛隊は現地の空港から外には出られません。派遣された自衛隊員は武器を携行しておりましたけれども、自力で逃げてきた方を安全に輸送機に導くということ、また、ハイジャックなどから機体を守る、人を守る、こういったことに武器使用が限定されていたと承知をしております。仮に、空港に向かう途中の日本人が襲撃されたとしても、空港外に出て武器を使うことはできませんので、なかなかこれは難しい派遣だったなと思います。

 ただ、安倍内閣が平和安全法制の一部として追加した自衛隊法第84条の3に基づく派遣でしたら、在外邦人等の保護措置を認めていますので、大使館などに集合した邦人等を陸上輸送し、この保護任務の実施を妨害する行為を排除するための武器使用というのは認められています。ただし、この保護措置の実施には、第一に、当該地域の安全を現地の当局が確保し、戦闘行為が行われていることがないこと、第二に、武器使用を含む自衛隊の活動について、領域国が同意していること、第三に、当局との連携が見込まれること、この三要件が含まれています。

 ですから、今年8月のアフガニスタンについては、もう既に政権が機能しておりませんでしたから、この三要件を満たさず、輸送を任務とする84条の4に基づく派遣しかできなかったということについては、十分理解できます。

 しかしながら、よくよく考えると、安全が確保されて、戦闘行為が行われることがない地域であれば、自衛隊が武器を携行して日本人を助けに行く必要はございません。むしろ、危険な地域、戦闘行為が始まった地域、政権が崩壊した国に取り残された日本人を日本政府が救出するための法制度整備が完成していないということが問題でございます。

 総理は、12月9日の衆議院本会議で、日本維新の会の馬場共同代表の御質問に対し、国民の生命と財産を断固として守り抜くことは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応できるよう万全を期していくことは当然であり、これまでも平和安全法制の整備等を行ってまいりました、法制面を含め、必要に応じた検討を不断に行ってまいりますと答弁されました。

 先ほど、私は中台有事に触れました。最悪の事態を想定して、いま一度、自衛隊法第84条の3の三要件を見直すなど、在外邦人などの保護措置を実効性のある内容に改正していくという御意思はありますか。総理に伺います。

 

○岸田内閣総理大臣

 先ほど申し上げましたように、84条3につきましては、これは憲法との関係、あるいは国際法との関係、随分と平和安全法制の際に議論を行いました。これは、武器の行使を伴わない警察的な活動を行うことを担保するための要件等、慎重に考えていかなければならない点を含んでいると認識をしています。

 ただ、一方で、邦人の生命、安全を守るために自衛隊が現地に赴くという際の安全ということについては、安全に対する考え方、これは決して民間における安全と同じ安全を意味するものではないと思います。この点についてもう少ししっかりと整理をしないと、アフガニスタンの際に国民の皆さんから様々な疑問が出された、こういった指摘にもつながってしまう。こういった点について問題意識を持ち、よく整理する必要があるのではないか、こういったことを検討するように指示をした、こういった次第であります。

 

○高市委員

 最悪の事態を想定して、より実効的に多くの邦人を救出できるような知恵を絞っていただきたく存じます。

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