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マイナンバーと金融機関口座の紐付けは必要

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 先週の金曜日(11月27日)に、政府が総理大臣官邸で作業チームの会合を開き、「マイナンバーと金融機関の口座の紐付け」については、「義務化を見送る」方針を決めた旨が、報じられました。

 

 国民の皆様が、「義務」ではなく、「任意」で、1人1口座を登録し、緊急時の給付金の申請手続きを簡素化し、迅速な給付につなげるということでした。

 

 登録は、マイナポータルや金融機関の窓口で、2022年度(令和4年度)以降に開始し、年金や生活保護や児童手当の受給にも活用できるそうです。

 

 私は、残念でなりません。

 

 「任意」の登録であれば、仮に、今年度前半に実施した1人10万円の「定額給付金」を給付するような事態が再び生じた場合、「5人家族の中で、1人だけが金融機関の口座とマイナンバーを紐付けしておられる世帯」があれば、市町村役場は、その方を除く4人の氏名を記載した申請書を郵送することになり、給付事務の手間は増えるだけです。

 

 「給付金の申請手続きの簡素化や迅速な給付」が目的なのであれば、例外なく全員に、マイナンバーと給付用口座を登録していただかなければ、意味がありません。

 少なくとも世帯主だけでも「義務化」にすれば、世帯一括給付ならば迅速に処理できるはずです。

 

 1人1つの金融機関名と口座番号を登録したからといって、政府が口座の中身までチェックできるわけではありません。

 それでも尚、「自分の財産を把握されるかもしれないから、やはり不安だ」という方は、政府からの給付金や手当を受給するだけのための専用口座を新たに開設すればよいだけです。

 

 私が総務大臣在任中に、「マイナンバーと金融機関の口座の紐付け」の必要性を訴えていたのには、「給付事務の迅速化」に加えて、もうひとつ理由がありました。

 

 東日本大震災の後に、自宅を失った被災者の方から、「全ての通帳とカードを自宅に置いていたので、自分や家族がどの金融機関にお金を預けているのか分からなくなった」というご相談を受けたのです。

 当時は、私から銀行協会にも問い合わせをしましたが、その方は、農協や郵便局や信用金庫なども利用していると記憶しておられて、なかなか一括で情報提供を受ける手段は見つかりませんでした。

 

 その後、私自身も苦労をしました。

 父の他界の数年後に、母が他界した時でした。急死でしたので、母がどの金融機関に口座を持っていたのかが全く分かりませんでした。

 相続税の納付漏れがあっては大変ですので、実家中を探しましたが、母の通帳はタンスの中やバッグの中や化粧台の中などにバラバラに置かれてあり、探し切れませんでした。

 結局、弁護士や税理士の先生に相談して、奈良県内の金融機関には照会をかけていただきましたが、未だに全容は分かりません。

 

 もしも、全ての方の金融機関の全口座にマイナンバーが記載されていたならば、マイナンバーを活用して、災害時や相続時に、自分や故人の口座の所在を知ることも可能です。

 

 マイナンバーは、日本に住む全ての方々に付番されており、マイナンバーカードの有無は関係ありません。

 災害や相続の発生時の困難に思いを致すなら、政府は登録の「義務化」をためらわずに、マイナンバーを活用できる方策を考えていただきたかったと思います。

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