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「総理の根性」 

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 金曜日の夕方、森総理から私に電話が入りました。
 私は、2日後の日曜日に「ポスト森」をテーマにしたテレビ番組(「報道2001」と「サンデー・プロジェクト」)に出演の予定でしたので、「ちょうど良かった。総理、お考えを伺っていいですか?」と切り出しました。

 高市 「現在の株安とデフレ傾向を考えると、平成13年度予算案と予算関連法案全ての成立を急ぐ必要があると思っています」

 総理 「その通りだよ」

 高市 「さらに教育改革法案6本とIT関連法案15本も国会を通過しないことは、森内閣の政策の結果が出ません」

 総理 「特に教育改革法案が全部成立すれば、学校は大きく変わるぞ。教育者として能力の無い教師は教育現場から移動させることもできるし、授業妨害をする生徒は登校停止処分にできる。大学や大学院のシステムも変える。良い内容なんだよ。君はテレビ討論に出る機会が多いんだから、観ている人に分かりやすい言葉で説明してくれよ」

 高市 「はあ。努力しますが、官邸側もアピール不足ですよ。私も森内閣が今国会に提出している法案の内容は実現すると多くの国民が喜ぶ画期的なものが多いと思ってますよ。だからこそ、予算案及び各法案の提出者である森内閣が、支持率が低いからといって国会審議途中で退陣するのは国民に対して無責任だと思うんです。ですから私は、国会会期末の6月までは総理を支える腹でいますから」

 総理 「おいっ、6月ってどういうことだい。私の任期はまだ先まであるんだ」

 高市 「げっ。総理、ずっと続けられるおつもりなんですか?」

 総理 「やらなきゃならんことが沢山あるんだよ。えひめ丸の事故の処理も、米国側に色々申し入れている最中だ。事故原因調査や査問会議にも日本側を立ち会わせるよう段取りしたし、これから船体引き上げや被害者への補償も交渉を続けなければならん。事故現場にも行ってくるつもりだ」

 高市 「ということは、予算成立後の退陣は無いということで?」

 総理 「柳沢金融担当大臣が不良債権の直接償却を提案したのは君も知ってるだろう。今は関係省庁で不良債権処理スキームを協議させているところだ。この時期に何としても改革をやってしまわねば、日本経済の足腰は強くならんのだよ」

 分刻み日程の総理としては異例の長電話だったと思いますが、ホンネを話して下さったと感じました。

 それにしても、マスコミの連日のバッシングや永田町内での3月退陣を求める包囲網にもメゲずに、今後のプランや政策を明るい声でお話しになるのには驚きでした。

 中曽根康弘元総理が森総理を評して「善人でずうずうしくて健康で根性がある。資質に問題があるわけではなく、運が悪い。色々な事件が無ければ支持率は30%以上に伸びただろう」とおっしゃったことを思い出して妙に納得してしまった私であります。

 総理の適格性に議論は有るものの、自民党議員達の「森降ろし発言」は卑怯だと思うのです。森内閣の政策と違った政策を堂々と打ち上げて「私が政権を担当した方が国民の為だから、早く総裁選をやろう!」と手を挙げるのではなく「とにかく森は辞めろ」では、森総理も退陣の仕様がないのです。。

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